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風の森通信 第1010号


板そば


 先日、義母の香典返しで山形の親戚にご挨拶した帰り、天童市にある水車そば屋に立ち寄ってきました。
年末の昼時、テーブル席は40ほどあったろうか隣の座敷もすべて満席。回転もよく少しだけ待たせてもらい数十年ぶりで水車そば屋の板そばを食べてきました。

初めて兄に連れていってもらった時、割り箸のようなそばの太さには驚かされたものです。
今では食べやすい太さになっていました。
でも板の大きさは以前と変わりませんでしたが、底の板が見えないほどぎっしりおそばで覆われています。量的には普通のザルそばの3倍弱はあるでしょうか、すべて食べきるとさすがの大人でもお腹いっぱいになるものです。

 ここで使われているそば粉は山形県産と北海道産のものを使っていて、石臼で挽いてそば粉100パーセントの手打ち生そばなのが特徴です。 
また説明書には、日本国内で出回っているそば粉の約8割が外国産で残り2割が国内産とのこと。東北は比較的そば畑が多いのでもっと比率は高いと思うのだがそれにしても2割とはびっくりです。
TPPが適用されればこの比率もきっと下がってくるだろう。今夜頂く年越しそばもほとんどが外国産のそば粉を使ったおそばとなるわけだ。
そばを食べるのにもよその国にお世話になるとはなんとも情けない話になってきたものだ。



 19日(土)の今年最後のお稽古は、小習の中から包帛紗そして貴人点薄茶でした。
今年一年無事にお稽古できましたことに感謝です。
年明けて1月9日(土)は齋藤社中の初釜となります。


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風の森通信 第730号


甘酒


 これは牛乳ではなく酒粕を使った甘酒です。

先日、横浜の親戚の方から板状の酒粕をいただきました。
岡山県にある某酒造メーカーの大吟醸酒粕です。

板状の酒粕の厚さは五センチほどもあります。
色は真っ白で触ってみるとしっとりとしていて、顔を近づけてみると酒の香りが漂ってきます。少し欠片をいただいてみたところ、甘みはさほど感じませんが口の中では酒の香りが広がります。色や香りで判断した限りでは、きっとできあがったばかりの酒粕なのでしょう。
自分で甘酒を作ってみました。
鍋の中に酒粕を砕きます。お湯を入れながらどろどろになるまでしゃもじでゆっくりかき混ぜていきます。
すっかりお湯に溶け込んだ頃、火にかけて自分の好みの甘さまで砂糖を入れていきます。
沸騰させてはうまさや酒分が抜けてしまうので、60℃くらいで火を止めれば一番おいしくいただけるようです。
最後にお塩をほんの少しだけ入れてできあがり。

 甘酒は子供の頃からよく飲んでいたもので、作る度に母から手伝わされたことも思い出します。
それに昔は父がこの甘酒に日本酒を入れ、ドブロクだと言ってよく飲んでいたものです。

湯気が出ている酒粕甘酒をいただいてみるとこれがなかなかおいしいのです。
酒があまり飲めない私は、二杯も飲めば顔が少し赤らんでくるのが分かるくらい酒成分が入っています。
口の中で酒粕の粒を砕きながら飲んでいると、飲み口がよくついつい量が進んでほろ酔い気分にもなってきます。

 ところで「甘酒」は夏の季語です。
江戸時代は天秤棒をかついで甘酒を売り歩く甘酒屋がいたようで、夏場の風物誌となりその名残りとして季語は夏になっています。
今でいう栄養ドリンクのようなもので夏バテによいものとして飲まれていたのでしょう。

 平成の時代での「甘酒」はジャパニーズ・ヨーグルトとも呼ばれ、栄養価の高いものとして評価されているほどです。
酒粕甘酒おいしゅうございました。
今年の雛祭りの楽しい思い出です。


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風の森通信 第727号


「つや姫」


 久しぶりに私が朝ご飯の準備をしてみました。
山形県産のお米である「つや姫」を先日いただいたので、どうしても私が炊いてみたかったのです。
炊き上がってまず最初の楽しみは香りです。
電気釜の蓋を開けると、炊きたての芳しい香りが広がります。

お茶碗にお米をよそってみると、お米の粒が大きくて真っ白に光っているのがまず目に飛び込んできます。素人の私が蛍光灯の光の下でデジカメで撮った写真ですが、米の一粒一粒に艶があり見ているだけでも食欲をそそられます。
いただいてみるとほどよい粘りと旨さが口の中に広がってきます。
お米だけでもお茶碗半分を食べてしまったほどで、お米がご馳走と思えたのは初めてかもしれません。

 「つや姫」は山形県産の新しいブランド米で、県が十年間研究を重ねて誕生させた水稲品種。

食味ランキング(お米の美味しさの評価)を行っている「財団法人日本穀物検定協会」の食味官能試験(実際に食べてみて、食味を判断する)において、外観については「艶がある」「粒が揃っている」など、味については「甘みがある」「うまみがある」などの評価が得られ、農業総合研究センターの食味官能試験でもコシヒカリを上回る結果となっているようです。
名前の由来はお米は粒が大きくて、色白でツヤツヤ輝いているということで決まったとのこと。
「白いごはん」が大好きな人には最高のお米といえるのかもしれません。しばらくおいしい「つや姫」をいただける毎日になりそうです。
次回のお茶事の時にも使ってみたいと思っています。

 試食用にとプレゼントしていただいたのは、山形県高畠町にある農事組合法人 屋代農業生産組合の中村さん。
わが家のお米は年間を通して中村さんから送ってもらっており、これまでコシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれ、はえぬきなどいろいろなおいしいお米をその都度宅配で届けてくれます。
食べる時に近くにある精米機を使い白米にしているので、いつもおいしくいただくことができます。
他にもサクランボやラ・フランス、葡萄などもいつも届けていただいております。

■販売お問合せ先
 株式会社アグリコーポレーション
 992-0351 山形県東置賜郡高畠町大字高畠527-1
 TEL: 0238-52-4380 FAX: 0238-52-1036
 担当   中村様



 今日のお稽古は「後炭所望」
私が花の札をひいたので亭主役をさせていただきました。
花月は「貴人清次濃茶付花月」そして「平花月」

「貴人清次濃茶付花月」がまだよく分からず、三月の花月の時にもう一度お稽古させていただくことになりました。


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風の森通信 第726号


「大徳寺納豆」



 これは「大徳寺納豆」です。
懐紙の上に置いて撮ってみました。

納豆とはいっても糸をを引くことはなく、色は黒くてコロコロとした小石のようにも見えます。
仙台で納豆といえば糸引き納豆のことですが、京都ではこれが納豆と呼ばれているようです。
昨年の夏頃、京都在住の友人が届けてくれたものです。
最初は興味半分でいただきましたが、独特の香りと塩辛さがあってけして好きとは言えず、それ以来ずっと冷蔵庫に入れたままですっかり忘れていました。お正月を過ぎ節分の時、置き忘れていたことに気付きなんとか処分しなければと思いまた食べてみました。
一個だけ口に含んでみると、塩辛いというのがまず第一印象。
少し噛んでいるうちに醤油のような味がしてきます。でもどちらかといえば粘りのない納豆の佃煮と言ったところでしょうか。
もう少し食べていると、色の黒いお味噌を口の中で溶かしているようにも思えてきます。

説明書には一休禅師が、中国より持ち帰り大徳寺に伝えたと書かれています。寺の僧侶たちは肉食が禁じられていたので、貴重なタンパク質として栄養源なっていたという。また門前の町衆に飢饉の保存食として伝授されたともありました。
一休さんの時代のことを考えながら口を動かしていたら、知らず知らずのうちに何個か口の中に入っていました。
当然のことながらお茶を飲みながらではありましたが、いただいているうちにこの塩辛さが癖になりそうな味であることが分かってきたのです。
誰でもが好きにはなれるとは思いませんが、私は何の抵抗もなく食べることができました。
それ以来専用の容器に入れて、毎日五粒程度食べております。
お酒やビールの肴になりそうです。甘いお菓子ばかり食べた後のお口直しや、二日酔いなどの時などにはいいのかもしれません。
しばらくは私だけの楽しみとなりそうです。

 朝起きてみると仙台は約十センチ程の積雪がありました。
午前中でほとんどの雪が消えてしまいましたが、午後からのお稽古をしている間も雪が少しだけ舞っていました。
雪が降っているのを見ながらのお稽古はこの季節だけです。
大炉での後炭手前、更々棚を使っての濃茶点前そして筒茶碗。

齋藤宗紀先生にご準備いただいた主菓子はバレンタイン用の羊羹で、表面にはピンク色のハートマークがたくさん付いているものでした。

   「御銘は?」
   「告白と申します」

どっと皆様方から笑い声があがりました。
男の私が言ってはまずかったかな~!
 来週は後炭所望、貴人清次花月そして平花月と齋藤先生より予告がありました。足の運び方から帛紗の付け方まで、また元に戻らなくてはなりません。
毎週変化のあるお稽古が楽しみでございます。


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風の森通信 第718号


完熟柿


 昨日は山形で結婚式があり、帰りに実家に寄ってきました。
お茶をいただいている時にテーブルに出されたのは完熟柿。
大きさというより高さが十五cmほどもある大きな柿でした。
近くの親戚が先日柿の木から取ってきて届けてくれたという。
柿の名前は蜂屋柿。
上から四等分に切ってあります。

皮を手で剥きスプーンで触ると、ぷにゅぷにゅしています。
冷たくて柔らかく甘い味が口の中に広がります。
それは柿の甘みがぎゅっと詰っているからでしょうか、まるでよく冷えた柔らかい羊羹のような和菓子でも食べている感じがいたします。
 山形では柿の収穫時期が終わっても、実をとらずにそのまま枝にたくさん付けている風景によく出会います。
どうして取らないのだろうと不思議に思っていたものです。
もぎ取る人手や手間がないからだろうとばかり思っていましたが、どうもそれだけではないようです。取らずに木にそのままにしておいて自然に完熟させ、一切加工などはせずいただくわけです。
そしてこの季節になると雪をかきわけて柿の木によじ登り、形が崩れないように下から手でしっかりと持ち丁寧に枝からもいでくるという。やわらかいので、届けてくれるにも形が壊れないようにと大変であったようだ。渋みがまったく無くなったお正月の頃にこうしていただくので、果物の究極の完熟の甘みといえるのではないでしょうか。
大きな柿を作るため余分な蕾や形の悪い実をとったり、残った柿に養分を行き渡るようにしているらしく、時間と労力がかかっていると聞きました。そのせいか通常の柿の倍以上の大きさになって、形も先が尖ったトマトのような形をしているので、簡単に他の柿と見分けがつきます。
 兄が言うにはビタミンAやカルシュウムやカリウムも多く、肝機能障害の予防やアルコールを分解する働きもあるらしい。そういえばお酒を飲んだ後、母によく柿を食べるようにと言われた記憶があります。この頃には渋みもすっかりなくなり食物繊維もあるらしく、便秘予防だけでなくコレステロールを減らし一緒に排泄する働きもあるようです。
 こうしてみると蜂屋柿の完熟は、なんとも贅沢な食べ方とその甘さそして良薬でもあるわけです。
この完熟柿を仙台で作ろうとしたら、いただく前にきっと鳥たちに全部食べられてしまうに違いありません。
やっぱり山形で寒いこの季節にいただくのが一番のようです。
それに蜂屋柿は、福島県伊達郡特産の「あんぽ柿」にもなるもので私の好物でもあります。
 

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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大そして、昔からあった美しい東北の四季とそれを彩る催しを発信していきます。ドイツで生まれたVEEH HARFE(ヴィーハープ)演奏にも取り組み、癒しの音色をお届けしていきます。

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