風の森通信 第763号
とよま薪(たきぎ)能
■日時 平成二十三年九月十七日(土)午後五時~八時
■場所 宮城県登米市伝統芸能伝承館 森舞台
■主催 登米秋まつり協賛会
■主管 登米能実行委員会(登米謡曲会・とよま振興公社)
「登米薪能」は毎年登米町秋まつりの前夜の宵祭りに開催されています。
仙台藩藩祖伊達政宗公は能を愛し、歴代の藩主も能を重んじてきました。特に登米伊達家では金春大蔵流が現在まで継承され演能されています。
竹林に囲まれ彼岸花も観客席から見える森舞台は、五百名を越える観客でぎっしりうまりました。
最初に奉行らによって火入ノ儀が行なわれます。
式三番 登米謡曲会会員一同
仕舞 玉葛 浅野喜代子 地謡 鈴木 彰 千葉昭夫
松虫 鈴木みえ子 浅野徳明 西條幹夫
飛鳥川 菅原かほ子 高橋修一 小野寺健次
龍田 島原洋子 佐藤貞七
子方(藤原房前) 芳賀洸祐
シテ後(龍女) 太郎丸 晃
シテ前(蜑女) 〃
海人 ワキ(房前の従者) 高橋 尚
ワキツレ(同前) 成澤信貴
アイ狂言(志度の浦人)佐藤勝彦
大鼓 佐々木和雄 太鼓 梁川啓子
小鼓 柴田和子 笛 畑岡千博
後見 須藤泰作 地謡 坂本正夫 佐川忠男
渡辺勇幸 阿部久男 小和田敏美
枡田徳次 佐々木 仁
大山 巍 高橋周三
解説 中澤さち子
房前(ふさざき)の大臣は亡母を追善しようと讃岐の国志度の浦を訪れます。
子方の芳賀さんはまだ小学生。
夏休み返上でお稽古に励まれたとのこと。
玉取りの様子を真似て見せた海人は、ついに自分こそが房前の大臣の母であると名乗り、涙のうちに書付を手渡します。
房前の大臣は書付を開き冥界で助けを求める母の願いを知り、志度寺にて十三回忌の追善供養を営むことになります。
読経のうちに龍女となった母が現れ、法華経の功徳で成仏できたと喜び舞を舞います。
地謡の方々の力強い重厚な読経にあわせてたり舞ったり、軽快なお囃子にあわせて舞われます。
子のため使命のため、自らの命を投げ出す一人の海人の気迫が劇的に表現されていきます。
付祝言
能は現実のようであり非現実的であったりもいたします。
リアルな場面があったと思うと、一瞬にして何千里も離れたところにいたりもします。想像を働かせて観ることによって楽しむことができるのが能です。
能は虚と実の世界。
約一時間半、篝火のなか幽玄の世界を楽しむことができたのです。
薪能の前に訪れた教育資料館前特設射場では、小笠原流同門会仙台支部の皆様方によって「蟇目(ひきめ)の儀・百々手(ももて)式」が執り行われていました。
女性だけの射手に優雅な内にも凛とした姿を拝見することができました。
和の学校仙台分校へどうぞ