風の森通信 第934号
最上三十三観音巡礼 10回目の結願
みちのく山形の「最上三十三観音」札所は、開創が室町時代までさかのぼる国内有数の巡礼地です。大自然の中にひっそりと佇む観音堂、それぞれの季節によって景色が変わります。
最上三十三観音の魅力は次の5点で言い表わすことができます。
・お堂の中でお経を唱えられる環境
・疲れを癒してくれる札所毎の温泉群
・さくらんぼ、ラフランス、葡萄、西瓜、蕎麦、お米等の味の観光
・蔵王や月山、最上川そしてお堂が織りなす四季の景観
・素朴な人情とおもてなしの心
各地にある三十三観音巡礼にはない魅力満載の最上三十三観音なのです。
平成26年9月30日、最上三十三観音巡礼の10回目の結願を達成することができました。
昨年の8月21日に初めて各札所を巡ってから約1年1ヶ月を要しました。冬期間は豪雪のため札所によっては閉鎖されるところが多いため、実質1ヶ月に1度巡っていたことになります。
番外の世照(よてらす)観音をあわせて、34札所の御朱印を全て頂くことができました。全札所の御朱印を掲載することはできませんが、その中で印象に残った札所の御朱印をご紹介させていただきます。
札所毎の個性的な染筆そして朱印を見ているだけで、筆で書いていただいり押印してもらった時の様子が目に浮かんでまいります。
今年は午歳ご縁年として「観音まつり」が開催されました。
御開帳も行なわれ、若松観音・長岡観音・上ノ畑観音・富沢観音・太郎田観音・世照観音・庭月観音の各札所で秘仏が公開されるなど、誠にありがたい巡礼の年だったのです。
5月からは記念散華も各札所毎にいただくことができ、42文字の「十句観音経」が出来上がりです。
観世音 南無仏
与仏有因 与仏有縁
仏法僧縁 常楽我浄
朝念観世音 暮念観世音
念々従心起 念々不離心
手元に残ったのは、御朱印帳と十句観音経散華集そして高松観音で授かった錦札や、各札所毎の記念になった34枚の金札だけです。
それ以外に無形のものとして、日常を離れて観音様そして友人と「同行二人」で巡拝しながら、今の自分と向き合う場になったと思っています。巡拝手法を覚えただけでなく十句観音経や般若心経を空で唱えることができるようになりました。父母が巡った札所を数十年後に私もこうして巡ったことにより先祖供養が出来たこと、それに巡礼の途中で出会った他の巡拝者の方々、別当寺の住職や受付の方々との交流が数多く思い出されます。
札所でお経を唱えることは、観音様に守られているという感覚、安心感そして勇気をもらえるそんな巡礼だったように思います。
もっと分かりやすくいえば、巡礼すること自体が御札やお守りを常に身に付けているようなそんな感覚でしょうか。
為 天下泰平 国土安穏 心願成就
最上三十三観音巡礼は、観世音菩薩の観音妙智力(神秘の見えない力)を求めることを知った巡礼だったのです。
最上三十三観音巡礼が十回目の結願となったことから一旦区切りをつけ、次回からは岩手・宮城・福島三県にまたがる「奥州三十三観音巡礼」をスタートさせたいと思っています。
先週のお稽古は中置での後炭手前、茶碗荘り薄茶茶筅荘り。
来週は大円之草と齋藤先生より予告がありました。
和の学校仙台分校へどうぞ