風の森通信 第2029号


第八回臥牛会現代書展


■会期 平成28年5月17日(火)~22日(日)
■会場 仙台市青葉区一番町 仙建ギャラリー

 臥牛会は毎年五月に仙台で、十二月には東京の鳩居堂で書展を開催されています。
代表の佐々木祐一先生や、元職場の先輩の熊谷さんの作品に出会えるとても楽しみにしている書展です。
会期の最終日に伺ってきました。
写真撮影は佐々木先生にご了解を得て、手持ちのスマホで撮影させていただきましたが写りが悪く申し訳ありません。



佐々木祐一氏
自作  木蓮の道
風吹き抜ける丘の道一面に甘い香りを漂わせ・・・

 背後の黒の水平線が空と大地の境目に見えます。構えが大きくゆったりと書かれた木蓮の道の字が、まるで大地に根を張っているかのように見えてきます。筆の遅速の変化が見る者の眼を釘付けにいたします。



中島緋紗絵氏
自作  空の隙間から白い便りが届きましたよ おさむいですこと

ろうけつ染めの手法が取り入れられている個性的な作品でした。一字一字に深みと温もりを感じとることができます。 
届の左上の白い点が大きなボタ雪にも見えてまいります。



斎藤紀江子氏
於もへど无な保うとまれぬ者る可須み
可ゝらぬやまの あらしとお无へ者

 かなの字形の動きがよくとらえていて、全体的な明るさまで感じ取れる作品でした。 



長瀬和子氏
島崎藤村の詩
はなのむらさきはのみどりうらわかぐさののべのいと
たくみをつくす大機の梭のはやしに きたれかし

 鮮やかな筆の運びで墨継ぎの変化を楽しむことができました。
背後の淡いピンクの生地は長瀬さんお手製だとお聞きしました。
そのせいでしょうか文字全体が生地に映えております。



渡部眞紀子氏

 すっきりしていて文字の大らかさが感じられ、また空間の使い方もうまい作品でした。
紙の繊維も見えていて作品の厚みさえ感じられます。
 


熊谷喜美雄氏
自作 震災追想

平成二十三年春妙に郭公の啼き声が耳につく暖かな日が続いた
小鷺の数も海岸線を中心に多く観られた白鳥は
体内磁石を失ったように行方定まらず乱れ飛んだ
自然界は人間が忘れた凶兆をいち早く知る能力を持っていたのだろうか
三月八日
大地は
一度震えた


 元職場の先輩である熊谷さんの作品を前にすると、東日本大震災と二日前の前震が思い出されます。その揺れはちょうどお昼頃であったろうか・・私も高速道路のパーキングに車を停めた時の大きな揺れであった。
熊谷さんの人柄が滲み出た丁寧な作品に心打たれます。

 今回は都合により熊谷先輩の慰労会はできませんでしたが、次回はゆっくり盃を傾けながら書の話でひと時を過ごしたいものです。 



 十四日のお稽古は後炭手前、盆点と総荘り。翌日から研究会に東北ゼミとお茶漬の一週間となりました。
また先日二十一日は台子初炭手前、行之行台子そして台子薄茶点前のお稽古でした。
本日は瑞鳳寺での月釜の一席目に入らさせていただきました。学校茶道でお世話になっている麻本宗澄先生と松本宗眞先生のお席でした。
翠の風が入り、鶯の声が聴こえてくる爽やかなお席でございました。
松本先生席

    床  鵬雲斎大宗匠筆  風送泉聲来
     棚    淡々斎好 溜精
     薄器   杜若蒔絵平棗
     茶杓   淡々斎作  銘 薫風

     茶    青松の白
     菓子   はつなつ
     菓子器   青海盆


和の学校仙台分校へどうぞ


風の森通信 第918号


第六回臥牛現代書展


■会期 平成26年5月13日(火)~18日(日)
■会場 仙建ギャラリー
         (仙台市青葉区一番町2-2-13 仙建ビル)

 ・佐々木 祐一 氏

    七重の舎利の小塔に蓋なすや緑の燐光 
                       宮沢賢治 『中尊寺』 より


 一行目が太く濃く浮きあがり、二行目は墨が淡く、遠くにあって奥行きを感じさせてくれます。中央には白い空間が存在し、左に書かれた文字がまた近くに見えてまいります。それぞれの行が少し右に流れるなどしてダイナミックな力強さを感じとれます。
一枚の紙の上に書かれた行の位置関係がそれぞれ異なり、三次元的なつながりとなって見えてきます。新たな取り組みの作品といえるのではないでしょうか。


 ・佐々木 祐一 氏

    晴耕雨讀


黒い傘に書かれた白い文字。
紙ではなく傘に直接書かれその斬新なアイデアに驚かされます。”書展が街に出かけた”そんな感じがいたします。
左側三文字が寄り添い、讀の一文字が少し離れて下に配されバランスがよくとれています。書体や文字の並びそして黒い傘に白字がマッチしていてそのおしゃれなセンスに拍手です。
 雨の一日、読書に疲れて気分転換に街へ出てコーヒーでしょうか?それともお食事でしょうか?
もしこの傘に出会ったなら、傘の後を少し離れて同じ歩幅で歩きましょう。
ジーン・ケリーの「雨に唄えば」を口ずさみながら。

《臥牛会事務局》仙台市宮城野区東仙台5丁目 23-22
           佐々木 佳子 様 022-293-2558



 今日のお稽古は、風炉を使っての台子初炭手前そして行之行台子と台子薄茶点前。
来週は真之炭とのこと楽しみでございます。
 

和の学校仙台分校へどうぞ

風の森通信 第799号


 「第四回臥牛現代書道展」


■日時 平成二十四年三月十三日(火)~十八日(日)
■場所 仙台市青葉区一番町 
          仙建ビル一階 SENKENギャラリー
■主催 臥牛会(がぎゅうかい)

 臥牛現代書道展は私が毎年楽しみにしている書展です。
職場の熊谷先輩がいつも出展しているということもありますが、出展されている方々が常識にとらわれず、個々の独創性を大切にし新たな書美を追求しているところに魅力を感じています。

           「森羅萬象」 佐々木 祐一 氏

 森という太い字と、他の細い字とが関わりそして交わりながらできている作品は、現代社会のありとあらゆる事象がランダムに交差しているようにも見えてまいります。
一気に書き上げられた力強さも見逃すことはできません。


           「福壽草」 中島 緋紗絵 氏

 隷書風の書体は、その花の持つ明るさ、喜ぴそしてあたたかさや優しさまでもが見る者に伝わってきます。
「幸せ」を感じさせてくれる作品でした。


           「春夏秋冬」 熊谷 喜美雄 氏

 今回の書展に熊谷さんと一緒に作品を拝見させていただくことができました。出展された作品についていろいろとお話を伺うことができましたので、その感想などを皆様方にご紹介させていただきます。

「春夏秋冬そして俳句四句
自作文を書にするのが理想・・・とは、亡き白楊師の教えであった。
しかしその学才無く、今まで自作に挑戦しなかった。
昨春の東日本大震災で消滅した自家、町、郷を思えば妙に湧くように言葉や詩が湧き出てきて自然に筆を走らせてみました。
春の淡雪とともに消えた郷、珊瑚樹もまた枯れ。彼岸花に亡き人を見、一年が過ぎてきた。
自分ながら初めての詠唱にしてはまあまあであろうか。
強調すべきは、冬の候・落合直文(気仙沼市松崎生まれ)を引き合いに詠んだこと。彼が今の世にあったならば、かの惨状をどのような心情で見るのであろうかが句の趣意だった。
それを渚に漂い鳴く千鳥に重ね合わせ、より悲哀が増長できたように思います。
おそらく今回の詠句は最初で最後かも知れません」


            「松無古今色」熊谷 喜美雄 氏

 「松は、四季を通じ千載を経て変わることなく常に青々とした緑の葉を茂らせるという。
災禍によってその松でさえなぎ倒され自然は悉く壊されてしまった。それでもなお、一木一草自然の力の強大さに奮起させられたものだ。生きる希望をこの松に投影させたかったのです」


            「芝桜」 熊谷 喜美雄 氏

 「どこの家にもあるように、我が家にも少しばかりの植木や花々が咲く庭がありました。軒先一面に植栽した芝櫻もその一つ。
春、一面に咲くそれは、近所の人達からいつも褒められた。潮水をかぶっても、なお負けずに生きた芝櫻は、五月連休にも美しく花を咲かせてくれました。この後は絶えてしまって咲くことのない我が家の芝櫻。
迷いなく自然に出た文がこれです」

 熊谷喜美雄さんは、東日本大震災でご家族の皆様方は高台に逃れ一命をとりとめたとお聞きしました。家や家財そしてこれまで書き続けてきた数多くの作品が津波によって失ってしまいました。
千坪近くもあった農地は地盤沈下となり辺り一帯が海辺になってしまったといいます。
震災後は当然避難所暮らし、そしてその後の仮設住宅での生活の中からこれらの作品に取り組んでこられました。
これまで何度も無力感に襲われたとのこと。只管に書と向き合おうとしても、自分自身の境遇が哀れに思え何もかもがいやになったともいいます。そんな時はどこかへ逃げ出したくなったというが、それでも書は書き続けたかったとお話をお聞きした。その強い意志が残っていたからこそ一層焦燥感に煽られてしまったとお聞きしました。

 職場の仲間たちと一緒に書展会場を後にして、久しぶりに一番町の馴染みのお店に行って飲んできました。
そこでも熊谷さんからは「憂いに浸っていたままでは前に踏み出すことはできない。心定まらない日々が続くけれども、失意の中から得られた力を続けていきたい。そして失われたものに新たな光を与えこと、そして作り積み上げられたきた作品たちと向き合い往字の姿を取り戻し、出来ればより良い作品に仕上げていきたい。こうした願望もまた今の自分を支えているのかもしれない」とお話をいただきました。

 震災後既に一年を経過しました。
この間、熊谷さんが取り組んできた作品を観賞できるのは十八日までとなっております。是非多くの皆様方が書展会場に足を運んでいただければ幸いです。

 

和の学校仙台分校へどうぞ

風の森通信 第772号


端渓硯


 今日のお昼前、仙台市太白区在住のМ氏宅を訪れた際「端渓硯」をいただいてきました。
書家であったお父様が使われていた大切な硯です。

横12.8cm、縦19.3cm、高さ2.4cm重量1.371kgで木箱付き。
色は青黄にちかい紫でしょうか。
丘の手触りの感覚はまるで赤ちゃんの肌のようにつるつるです。石質はきめ細やかでしっとりと潤っていて艶のあるものでした。長年丁寧に使い込んできたものでしょうか、風格さえ感じ取ることができます。そしてあまり目立たない銀線ですが、左上から右下に向けて二本走っているのも見えます。
石紋は雲が流れているような様は美しく繊細なもので、丘や海そして裏面にも現れています。
この石紋があるだけでも価値のあるものだということが一目瞭然です。手にしているだけでついその石紋の美しさに見入ってしまいます。この硯を見ていると、過去の中国や日本でどんな文人が使ってきたのか、歴史に思いを馳せてみるのもまた楽しいものです。
 明日は実際に硯に水につけて墨を磨り、筆字で書いて確かめてみることにいたします。
最近は先生方に筆で手紙を書く機会が多くなっていたので、明日からは端渓硯で墨を磨って書くという楽しさがまた一つ増えることになりました。
 この「端渓硯」はМ氏のお父様からの大事な預かりもの。
よく私のところに来てくれました。
これからは奥にしまわずに毎日水を含ませ、大事に扱い次の世代に引き継いでいきたいと思っています。

 もう一ついただいたのは小振りの硯です。

一目見ると達磨さんのような姿をしている硯です。
底辺横8.2cm、上辺横4.0cm、縦12.2cm、高さ2.4cm重量は217gで、硯石本体に合わせ設えたかわいい木箱が付いているものです。
海の大きさはかな文字を書くのにちょうどいいようです。
こちらも大事に使われていただきます。
「端渓硯」等の他に、篆刻のお道具の印材や印泥、印刀などたくさんいただきました。
М氏にはこの場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

 私の硯の思い出は、父が手紙を書くとき墨を磨る役がなぜか一番末っ子の私だったことが思い出されます。
こうして「端渓硯」を手にした今、また昔と同じように硯に向って墨を磨ることになりました。
ただ墨を磨ることだけを考えていた子供の頃とは違い、年をとったぶん墨を磨っている時間に相手の方を思いやることができたり、どんなことを書こうかなどと思いを巡らしたり、その思いは年とともにだんだん深くなっていくに違いありません。
先人から受け継いだいろいろなお道具は、丁寧に扱って多くの人たちにその良さを伝え、そして引き継いでいきたいと思っています。
このことも今の私に与えられた一つの役割なのかもしれません。
端渓の硯は単なる道具を越え、私たちの心を豊かにしてくれる存在なのです。


和の学校仙台分校へどうぞ

風の森通信 第619号


臥牛会書展
 

 平成21年9月に銀座鳩居堂画廊で開催された「-書-グループ2009」の作品が仙台でも公開されました。
主催は仙台を中心に活動している「臥牛会」

              「純」  佐々木祐一氏

photo_21100304.jpg

 筆を運んでいる時間の経過を思います。
左と右の字が一定の距離を持ちながらも、密接に調和し一文字として構成されていて、観る者の心を引きつけてくれる作品です。
左の糸が犬のダックスフンドにも似て面白い構図に仕上がっていて、純という一文字なのに物語の中の一場面を見ているような気がしてきます。

       「月明りあつめて蛍二ツ三ツ」  中島緋紗絵氏

photo_21100302.jpg

 暗闇の中、蛍が二ツ三ツ。
十二文字の作品なのですが、ひとつひとつの字が互いに結びつきながら、一枚の紙の中に小さな蛍の飛ぶ世界が繰り広げられています。作品を拝見していると、蛍が飛び交っている光景が見えてきてゆっくり楽しむことができたのです。
落款の朱も効果的に配されています。

「風に桔梗の繪帷子けさの飛脚でとどき候・・・」 熊谷喜美雄氏

photo_21100303.jpg

 熊谷さんは職場の先輩。
今年も書展の招待状をいただき感謝申し上げます。
熊谷さんは宮城県気仙沼市出身、地元の詩人水上不二の作品に傾倒し、毎年書として彼の作品を紹介してくれます。

   風に桔梗の繪帷子(えかたびら) けさの飛脚でとどき候
   産土(うぶすな)さまのお守札 棚にまつって拜み候
   江戸は両國川びらき ところてんなど食べて候
   とてもみごとな揚花火 玉や鍵やとよんで候
   きのう習った千文字 ほめられて候 おくり候

虫が食ったような用紙に綴られています。
きのう習った千文字 ほめられて候 おくり候
最後の一行が熊谷さんの心を動かしたに違いありません。
果たして誰に褒められ誰に送ったのか、酒でも飲みながらお話を伺いたいものです。

 十名の書家の皆様方の作品が並び、一人一人の個性が光ります。
伺った時も多くの観覧者でにぎわっておりました。
写真撮影とブログ掲載の許可をいただきました佐々木先生に、この場をお借りし厚く御礼申し上げます。
この書展は10月4日まで、仙台市青葉区一番町「仙建ギャラリー」で開催されています。

               
和の学校仙台分校へどうぞ

テーマ : 和風、和物、日本の伝統
ジャンル : 趣味・実用

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大に取り組んでいます。
昔からあった美しい東北の四季、それを彩る催しなどもお届けしていきます。

リンク
ブログ検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
QRコード
QR
いくつになったの?

天気予報

-天気予報コム- -FC2-
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ