風の森通信 第276号
今年の仙台は、春のくるのがいつもより早そうだ。
雨戸を開けるともう風の温度が違ってきているのがわかる。
今朝の最低気温は2℃、氷点下の気温になることはもうないのだろう。外に出てみると土の匂いだってわかる季節になっていた。
今日のお茶のお稽古のテーマは「ひな祭り」
正面には男雛と女雛が描かれ、お茶碗の形そのものが桃の形となっていて、この季節にぴったりの京焼きのお茶碗である。
正面を避けてお薄をいただく時、ちょうど桃の花が目の前で咲き揃います。
この祭りは、女の子が健康に育つようにと行われてきたもので、桃の節供そして女の節供ともよばれる。
旧暦の3月3日は今の4月にあたる。
その頃はちょうど桃の花の盛りの時期。桃は邪気をはらい、霊気を持った木として古来から敬われてきたもの。
床は「和楽全」。
世の中が和らぎそして楽しく暮らせるようにとの願い、そして子供達もすくすく元気に育ってほしいと願うものであろう。
張子の戌が笊をかむったもので、なんともほのぼのとした絵であった。
仲見世などでは子供のお守りの絵として今も売られているという。
笊は通りのいいもの、子供が大きく育ってもらうためには大事なことであったのかもしれない。体の中に悪いものが溜まり苦しむことより、通りをよくすることのほうがより健康的であったのだろう。
私が小さかった頃、笊を頭にかむり遊んでいたりすると母から「笊は頭にかぶると背が伸びなくなるぞ」とよく怒られたものだ。
そんな話は私が生まれ育った山形だけの話なのだろうか。
あまり大きくなれなかった私の身長は、笊をかむって遊びすぎたせいなのかと、この歳になってちょっぴり反省している。
薄茶席で出された干菓子器は秀衡椀。
秀衡椀は高台が内に反っているのが特徴の器で、全体的にどっしりとしていて図柄も大きな椀であった。
そこに入っていたのはたくさんの「ひなあられ」。
懐紙からこぼれ落ちるくらいたくさんいただいてきました。
今日のお稽古は後炭点前、炉を使った盆点そして薄茶点前。
近づく春を楽しむことのできたお稽古だったのです。