風の森通信 第299号
第十一回「杜の都大茶会」
新緑の木漏れ日の中、仙台市青葉区勾当台公園でお茶を楽しむことができた。
空は晴れ渡り、風もあって清々しい中でのお茶会。
爽やかとは、五月のために用意されていた言葉ではないでだろうか。
「杜の都大茶会」は毎年この時期に開催されていて、約一万人の方々が参加される市民参加型の大規模なお茶会です。
宮城県芸術協会茶道部加盟十三流派と、裏千家茶道を学ぶ在仙各大学の茶道部がそれぞれ野点席で迎えてくれました。
大日本茶道学会席
雲悠々水潺々 ( くもゆうゆうみずせんせん )
晴れ渡った五月の空には雲が悠々と流れ、ここ勾当台公園の中にも水がさらさらと流れています。
静の中の動、動の中の静。
お茶のお点前の美しさは、この動と静で表現できるといわれている。
花 えびね
五月の風に揺れておりました。
棚 麗沢棚
左と右にはそれぞれ麗しき水があり、その沢である中央でのお点前。
菓子 若鮎
黒いところが鮎の目。
透き通った水の中を泳いでいる鮎の姿が私の手の中にあります。
お茶杓 銘 苔衣
お席のテーマはやはり「清水」であったろうか。
大学生席(裏千家)
喝 大亀老師筆
喝は悟りを得させるために用いる叱咤(しつた)とともに、日本チームがサッカーで勝つことを祈って荘られていた。
大学生の一つひとつの所作が清々しい。
菓子 薯蕷饅頭(サッカーボール、サッカースタジアム)の二種。
サッカースダジアムは中央がグリーンの芝、そして屋根にはドイツの国旗。
建水は地球儀でドイツが正面に荘られていた。
茶席のテーマは「ワールドカップ」。
床はゴールポストに日の丸、建水が地球儀とは驚かされます。
来月に控えたサッカーの試合が待ち遠しいものです。
新緑の下、爽やかなそして清々しいひと時。
心をこめて点てていただいた一碗のお茶はおいしく、多くの市民の皆様方と共に楽しみ心和むお茶会だったのです。
豊かな日本文化としてのお茶は、特定のお茶人だけが楽しむのではなく、多くの人々がお茶に接し、その楽しさや喜びを享受できるものでなくてはならない。そして次の世代にも伝えていくことも求められている。
学生たちが席を担当し、多くの若者たちもお客様として参加しいる光景をみるたびに、まだまだ日本はすてたものではないと思っている。
気軽に参加できる「杜の都大茶会」は、仙台の城下町茶会としてすっかり定着化してきている。
来年もまた参加したいものである。
明日5月28日の日曜日も、裏千家をはじめ多くの流派の方々の席が待っている。
でも雨の予報で心配です。
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