風の森通信 第303号
「花結び」とは、一本の長いひもを両手で結んでいろいろな花や紋、蝶や蝉などの小動物を表現する古来からの伝統技芸。
仙台市博物館で「第5回 日本結び文化展」が開催されました。
伝統の技シリーズの一環として企画展示され、大小さまざまな作品を拝見することができました。
単なる「結び」ではなく、それはもうアートの世界です。
以下にご紹介させていただく「花結び」の作品は、会場の責任者の方に写真撮影の許可をいただいたものです。
茶入の結びだけになりましたのでご勘弁願います。
たった一本のひもの力は一であっても、結ぶことによって十や百の力を持つことが可能といわれ、結び目には神の御心が宿るものとして信仰の対象となってきた所以である。他にも「結び」は文字の代わりとしての役目をつとめ「心を結ぶ」ということまでやってのけるなど、単なる結ぶという行為だけにととどまらない。
美や機能性を追求されながら、日常生活の中に深く入りそして根付いてきたといえよう。
千利休によって茶の湯が大成されたとき、茶の作法の一つとして結びも定められたようだ。茶道は当時の武将のあいだでは戦略の一つとして用いられていたのである。お茶入れ一つで戦をしたという話まである。
身分の高い方にお茶をさし上げる茶道役の間で、主君が毒殺されることを防ぐために、自分ひとりの心覚えの封印結びとして発達したという時代背景があった。一度ひもが解かれると直ぐに分かるようになっていて、中に入っていたお茶は全て捨てられる。
一子相伝といわれる時代であっても、親から子へ教えることも習うこともなかったいわれる。
江戸時代になってからは封印結びとしての意味合いも少なくなり、花鳥風月などの飾り結びとして変化・発展することになる。
今では茶道、香道、神社仏閣での結びや葵祭りの山鉾にみられるような結び、能装束などにも伝統の流れをみることができます。
特に「花結び」は、女性の奥ゆかしく機智にとんだ教養として発達し、現代まで受け継がれている。
結びの典雅さは、日本文化の美しさを知ることにつながるのではないだろうか。
展示作品を拝見した後、実習「花結び」として博物館の講習室で、鈴をつけた小物づくりを指導していただくことができた。
「平結び」と「つゆ結び」を使って作ります。
下の作品は先生の指導を受けて約十五分程度で完成したもの。
鈴を囲んでいる丸い部分が「平結び」、輪の付け根のところが「つゆ結び」
記念にいただいてきました。
残念ながらお茶入れの仕覆の結び方の実習はありませんでしたが、水引の高度な結びの作品や仕事結びなど、いろいろな作品をみることができ楽しむことができたのです。
6月24日には、和の学校仙台分校会員の佐藤さんが講師となるふろしきを使った「和のラッピング教室」が開催されます。
場所は仙台市青葉区中央二丁目にある、仙台市ガス局ショールームのガスサロン2階コミュニティスクエアです。
「和の学校」仙台分校へどうぞ