風の森通信 第311号
日日是好日 (にちにちこれこうじつ)
仙台は朝から雨の一日。
こんな日は外に出るのは億劫になりがちです。
でも、日本に住んでいる私達にとっては、この季節の雨から逃れることはできません。
どうせ逃げ切れないなら、居直ってこの季節を楽しむ工夫をしたいものです。
雨の日は雨を見て、雨の音を聞いて、雨に濡れて、雨を思い、雨を感じてみることにいたしましょう。
今日はお茶のお稽古の日。
風炉を使った後炭手前、盆点(ぼんだて)、そして葉蓋(はぶた)と洗い茶巾での薄茶点前。
葉蓋とは、水差の蓋の代わりに木の葉を蓋にするもので、梶の葉や、蓮の葉、それに桐、里芋、蕗の葉なども使われます。
今日は高さのある青磁の水差に、少し大き目の秋海棠(しゅうかいどう)の葉を使ってのお稽古です。
葉を少し濡らした姿はいかにも夏の朝の風情です。
洗い茶巾は平茶碗に水七分目を入れ、二つ折りにした茶巾が入っているものを両手で持ち出します。
茶碗の上で茶巾をしぼり、そして唐金の建水の上で再度しぼりながらその水の音を聞いてもらい、涼味を感じてもらうお点前です。
瑞々しい葉や水の滴る音に、亭主の「おもてなしの心」を見つけることができます。
季節を楽しむのはいろいろな方法がありますが、このお茶室では視覚による楽しみであったり音であったり、触れることであったり、それぞれに梅雨の季節を愛でることができるのです。
いつの時代も、四季それぞれを楽しむ工夫がなされてきたのは、茶道の大きな特徴といえるのではないだろうか。
いただいた主菓子(おもがし)は麩饅頭(ふまんじゅう)、笹の葉に包まれ冷やされた饅頭は、口の中では優しくなんともいえない甘さとおいしさです。
雨の日は雨を見て、雨の音を聞いて、雨に濡れて、雨を思い、雨を感じることができました。
こうしてお茶室の畳の上に正座している時間が、私にとって居心地のよいものでした。
雨の日もまたよき一日だったのです。
七月十五日は「中元」の日、そして京都では祇園祭の宵々山、町家では屏風祭が行われていますが雨はどうだったでしょうか。
今日から和の学校仙台分校ホームページのトップ写真を更新しました。斎藤宗紀先生のお茶室の躙口(にじりぐち)から路地をみた光景です。四季折々に撮影し掲載していきたいと思っています。
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