風の森通信 第332号
「もってのほか」を食す
今朝は、庭の畑に咲いている淡い紫色の「もってのほか」を摘み取ってきて、自分で茹でて作ってみました。
「もってのほか」は食べられる菊「食用菊」のことで、秋の季節には欠かすことのできない旬の食材です。
「もってのほか」という名前は山形だけの呼び名のようですが、他の県では「延命楽」として知られているようです。今では東北が主な生産地となっていて、その中でも山形県は食用菊の生産量では全国一位。
食してみるとほのかな香りと苦味、そして甘み、しゃきしゃきとした食感がたまりません。
昔は奈良時代の頃に、中国から漢方薬として伝わってきたといわれていますが、菊の花びらを食用にしたのはいつの頃からででしょうか。
私が生まれ育った山形では、秋の味覚として古くから食べられていて、山形の秋の味覚として親しまれています。
子供の頃には籠いっぱいの「もってのほか」の花びらを取るように母からよくいいつけられたものです。それも花の芯の部分は苦いので、外側の花びらだけを取るようにと仕事を頼まれましたが、数が多いのでいい加減飽きてしって閉口したものです。
花びらの部分は写真を見ても分かるように、筒状になっていて茹でても形があまり崩れずに出来上がります。
作り方はいたって簡単で、取った花びらをちぎりさっと水で洗います。
たっぷりの熱湯の中に酢を少しだけ加え、その中に花びらを入れて箸で2回から3回ゆっくりとかき混ぜます。歯ざわりを楽しむために茹ですぎないのがコツ。ザルに入れて水に放して水気を取りますが手で硬く絞ることなどもってのほか。
皿に盛り付けて酢醤油をかければお浸しの出来上がり。
食卓に並べばそのきれいな彩りとお味は風雅な一品です。
いただくときに箸を持つ手に菊の花の残り香があって、私にとってはそれもまたご馳走なのです。
家の庭で栽培した「もってのほか」はまったくの無農薬。
今夕、おいしい日本酒に菊の花びらを浮かべていただくことにいたしましょう。
日本の伝統的なエディブルフラワー(食用花)としての「もってのほか」を、皆さんもいただいてみませんか。
関連ブログ記事(平成18年9月9日・風の森通信第326号)
今日のお稽古は月末ということもあり、木曜日のお稽古の先輩と一緒に「且座之式」そして「貴人清次花月」
五人揃えばいつも花月ができるので、月に一度のお稽古はありがたいものです。
花月の中ではお茶杓の銘をお聞きすることはありませんが、次回のお稽古の時はこんなふうに応えてみたいと思っています。
「お茶尺の銘は」
「着せ綿と申します」
菊の花を愛でながら長生きをしたいと思うのは、昔から変わることはありません。
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