風の森通信 第334号
名残り月
午前中、仙台は台風のような強い風とともに、どしゃふりの雨が降り続きました。
名残りの月とは、夏の名残りを惜しみながら、もうすぐ訪れる冬を待つ月のこと。
お稽古の八畳の部屋には雨の音しか聞こえてきません。
その音を聞いているだけで、自然の中にいるという気持ちになってくるものです。日々の生活の流れの中で、お茶室にいることは束の間の安息の時。それは自然の中にいる自分であることと見つけられるひと時です。
一気に秋が深まった周囲の変化に、私の五覚が研ぎ澄まされてきます。
家は雨が漏らぬほど
食事は質素に
花を入れ
お香をたき
水を運び
炭を持ち
湯をわかし
茶を点てて
お茶をお客様にのんでいただく
自分ものむ
ただそれだけのことだが、忘れかけていたことばかり。
今日のお稽古は風炉の最後の月ということもあって、椅子席の「立礼(りゅうれい)式」による初炭点前、濃茶点前そして薄茶点前。
立礼式は明治維新の頃に裏千家第十一世家元玄々斎が、京都で開催された「京都博覧会」に椅子席として初めて使われたものであると教えていただきました。当時は他の流派に非難を浴びたとのこと。今では一般化し、広く使われていることを思うと百年先を見据えたお手前であったといえるようです。日本の茶道が世界にも受け入れられた、一つの大きな要因でもあったかもしれません。
修行が足りずお恥ずかしいことなのですが、足は痺れずに済みました。
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