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風の森通信 第335号 


講演会に参加して 

日時  平成18年10月4日(水)午後3時~4時
場所  仙台市青葉区 勝山館
講師  裏千家十五代家元 鵬雲斎千玄室大宗匠
演題  「次世代にかける想い」
主催  次世代を育てる会

 人と人とのつながりが希薄になり、目を覆いたくなるような事件が毎日報道されるなど、痛ましい事件が頻発しています。
人をみたら疑えというような風潮であっていいのでしょうか。
次世代はどうあるべきか、どうあってほしいのか。
私たちが考え、何かを実行しなければという思いにこたえていただくため、鵬雲斎千玄室大宗匠に茶道や戦争体験を通して、日本人の心の原点を参加者の約六百名を超える方々を前に語っていただきました。
今回は和の学校仙台分校「お茶を楽しむ会」の10月期例会として、お茶室を離れて今回の講演会に参加したものです。

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             (鵬雲斎千玄室大宗匠)

 大宗匠は大正12年お生まれになり、大学時代の昭和18年に徴兵検査を受けられました。
父であり裏千家代14代お家元淡々斎から、出征前に利休居士が切腹したときの刀を見せられ一言「無駄死にだけはするな」と言われたとのこと。その後海軍に入り、徳島海軍特攻隊の一員として配属となり、父淡々斎からいただいた茶箱を携えながら訓練の合間に戦友たちに茶を点てられたり、出撃前に一服飲んでもらい出撃していった戦友の顔が今も思いだれるとお話をしていただきました。
「愛する家族のために」という思いが当時の若者の一人ひとりがもっていて、出撃前夜「お母さん」と日本の国に向かって何度も何度も叫び続けたことが今も耳に残っているとお話されました。
幸いなことに出撃する前に終戦を迎えられました。
戦後は茶道普及のため尽力され、特に茶道の国際化に大きく貢献されています。
先年、ローマ法王にお茶を差し上げた際「日本教会史」の存在があることを知っているかと聞かれたそうです。当時ロドリゲス牧師が書かれたもので、ページ数にして約三分の一がお茶に関する内容のものだったと紹介してもらいました。
この書はキリスト教を日本で広めていくためには、お茶会に参加し多くの人々と交わることが大切だと記述されているようです。
帛紗の捌きかたもミサで器を清めるための作法に似ていることや、茶室の小さな入口を躙口(にじりぐち)と呼び、狭き門より入れという聖書の一説が取り入れられていたり、利休七哲といわれる全員がクリスチャン大名であったように、当時はキリスト教の影響が色濃く茶道の中に取り入れられていました。
その後、秀吉によってキリスト教は邪教とされ排除されていく中で利休は自刀、高山右近はフィリピンに国外追放されたのは史実のとおりです。

 茶室の外には刀掛けがあり、秀吉でも帯刀を許されず身分の上下の隔てもなくお茶をいただく。民主主義や平和主義の精神にかなったものとして大きくクローズアップされたのも幸いし、三千家を中心として茶道は戦後大きく発展してきました。
挨拶することや平和な気持ちで譲り合う、勧めあうこと、順序だててきちんとやること。 全ての若者とはいわないが、今の多くの若者たちに欠けていること。戦後の民主主義教育の中で「個」が強調され、それによる多くの問題や弊害が発生しています。
現在の教育は「と」の教育なのだと。
それは「親と子」「子と親」、「と」は「戸」であり遮るものの概念。
「先生と子」「子と先生」、対等に考えることによって親が学校に口出しをしたり、小さな問題でも大きく報導されてしまっている現状を嘆いておられました。
最低のマナーを知らない若者や子供が増えてきていることや、「あまやかしすぎ」「贅沢をさせている」という親があまりにも多すぎる。
大宗匠の母は仙台出身の千嘉代子様。
厳しくそして自愛のあるお方だったようです。喧嘩で負けてこようものなら「やり返しておいで」と言われたのだと、笑いながら話されておりました。学校でも先生からげんこつをもらった話や、バケツを持って立たされていたことも普段にあったようです。
叱ってくれる親や先生がいっぱいいたことが話され、社会全体が子供たちを育てていたという時代だったのです。
これからは「親の子」「子の親」そして「先生の生徒」「生徒の先生」というように「の」の文化を発展していかなくてはないらいと強く呼びかけられました。
分け合っていただきあうことが「もったいない」ということにつながり、連帯感や一体感が成立してきます。
「の」の文化は「和」の文化。
社会人に置き換えれば「会社の社員」「社員の会社」ということを考えれば、よく理解できるのではともお話いただくことができました。
そして一人ひとりが前向きな姿勢で取り組んでいけば、人は必ず育っていくと締めくくられました。

最後に参加者全員に、隣に座っている方々と手を握り合ってもらいたいとお話されました。あたたかな手のぬくもりを知ることがこれから人を育てていくには大切なのだと。
参加者は予想を上回る六百名を越え、大宗匠のお話に耳を傾け、次の世代にどのように向き合っていけばよいのかお話を伺うことができたのです。
                                  (冨樫)

 講演会の前に裏千家宮城支部の呈茶がありいただくことができました。
床にはご講演をいただいた鵬雲斎大宗匠のお母様が書かれた扇面が荘られ、生前の多才な千嘉代子様を偲ぶことができました。
写真撮影はできませんでしたので、歌碑建立記念でいただいたという扇面。齋藤宗紀先生の床にあったものを掲載とさせていただきます。

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 ふるさとの花佐くはる毛ちる萩乃秋の小径も無ねにゆめ美留 

  (ふるさとの花咲く春も散る萩の秋の小径も胸に夢みる)

仙台から遠く離れた京都に嫁がれた千嘉代子様が、自然豊かな故郷を愛し、病床の中にあっても思い出されていたとのことでした。見舞いに訪れた仙台の方々に「青葉城恋歌」を何度も歌ってもらい聞いておられたと大宗匠からお聞きしました。
いつの時代でも子が父母を思う気持ちは変わることはありません。それは親から子へ、子から孫へと受け継がれていくものです。

清香院様の歌碑は瑞鳳寺のお茶室の前に建っております。
                

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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大そして、昔からあった美しい東北の四季とそれを彩る催しを発信していきます。ドイツで生まれたVEEH HARFE(ヴィーハープ)演奏にも取り組み、癒しの音色をお届けしていきます。

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