風の森通信 第341号
晩秋のみちのく
日時:平成18年11月3日(祝)
場所:イズミティー21「仙台市泉区民文化祭茶会」
主 :裏千家澤藤氏
短冊 千歳
花 浜茄子
茶碗 白薩摩
茶杓 象牙笹の葉
テーマは「七五三」
小ぶりな茶箱でのお点前。
茶箱の両側面には扇面が描がかれ、秋は紅葉そして春には桜と季節ごとに楽しめるもので、江戸時代の作とお聞きしました。
絵の繊細さと塗りの保存の良さには驚かされます。
茶箱の中には小さなお茶碗など組まれていて、まるでおままごとで使うお道具が入っているようです。
振出しの中には金平糖。
白薩摩の小さなお茶碗に丁寧にお茶が点てられ、手の中に入ってしまうほどの小ぶりさに思わず笑みがこぼれます。
次のお席の三彩流安部碧峰氏席では、小学生の男の子が煎茶を点ててくれました。
どんな茶人になるのか今から楽しみなことです。
遠州流松岡氏席では男性が私一人だったこともあり、正客まで経験させていただくことができました。
「南山多寿色」
感謝申し上げます。
その後は車で移動し、東北大学大学院文学研究科・東北大学植物園主催による、市民オープンキャンパス「紅葉の賀」に参加。
植物園内では、淡交会宮城支部のO.S先生による野点席でお茶をいただくことができました。
お茶の楽しみは、自然の風物の中にいてこれを楽しみながらいただくことにあります。お茶室からこの植物園の中に飛び出していただくお茶はまた格別なものでした。
毎年、この野点席でO.S先生にお会いできますことも、楽しみの一つとなりました。
お茶をいただいた後は場所を文教大講義室に移し、公開講演会<紅葉の文化と生態>に参加。
文学研究科教授の佐竹保子先生による「霜葉は二月の花よりも紅なり」-中国のもみじのうた-
講演の中では劉禹錫(りゅううじゃく)の七言律詩の頸聯(けいれん)の第五・六句目が印象に残りました。
沙村好處多逢寺
山葉紅時覚勝春
沙村(しゃそん)の好(よ)き処(ところ)多く寺に逢い
山葉の紅(あか)き時春に勝(まさ)るを覚ゆ
1300年の歳月を経た現代においても、劉禹錫の感性の表れを前に驚かされるばかりです。
東北大学植物園長で髭で有名な鈴木先生からは、「日本の紅葉、世界の紅葉」と題しお話をいただきました。
地球上でも例をみないほどの紅葉する地域に住み、贅沢な場所に私たちが住んでいることを改めて教えていただくことができました。
楓科のいろはもみじ、うるし科そしてニシシギ。
目を射るような赤が、植物園内にもたくさんあるのだと。
最後は同文学研究科教授で琴古流師範でもある泉武夫先生の「秋鹿にちなむ尺八の名曲と秘曲」-レクチャー&ミニコンサート-
「鹿の遠音(とおね)」と「海児道(わたずみどう)」を聴くことができました。
中国より仏教とともに渡来した尺八は、禅宗の高い精神性と共に発展してきたようです。
紅葉の季節、心振るわせられた尺八の音色だったのです。
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