風の森通信 第357号
「茶筅供養」
・ 日時 平成18年12月19日(火) 午前9時00分~
・ 場所 仙台市青葉区 瑞鳳寺山内 「茶筅供養」
山門付近はほとんど人通りはなく、静かな朝の経ケ峰。
山門に近づき見上げると、金色に輝く山号「正宗山」の文字がくっきりと見えてきます。
瑞鳳寺は臨済宗妙心寺直末で寛永十四年(1637)、伊達政宗公の霊屋である瑞鳳殿とともに、二代藩主忠宗公によって建立されている。
参道は、朝日に照られ境内に導かれるかのように光り輝いています。
午前9時から「茶筅供養」が瑞鳳寺海眼閣にて執り行われ、約百名近くの参会者とともに合掌してまいりました。
「供養」とは物を大切にして、物に感謝することと云われています。
茶筅供養、針供養、筆供養、人形供養、包丁供養、虫供養、鰻供養等は、人以外のお道具や生物を大切にすること。
人ばかりか物をも大切にする精神から敬い、拝みそして感謝の気持ちが生まれてきます。他人や物を大切にすることがひいては自分を大切にすることにつながると、鎌田住職よりお話をうかがうことができました。
子供の頃ご飯を残したり物を粗末に扱うと、父や母そしてご近所の方々にもひどく叱られたものです。
昔の人が人情こまやかだったのは、物を大切に扱ってきたからではないだろうか。
近年、「供養」という文字を目にすることが少なくなったのは、誠に残念なことである。供養という名のつくものがあれば、できるだけ参加してみたいと思っている。
濃茶席(台目席)
床 坐忘斎家元筆 坐石雲生衲
花 白玉椿 雲竜柳
石に坐すれば雲衲(のう)に生ず
衲は衣という意味なのだとお聞きしました。
長い間石の上に坐し石に成りきったとき、衣から雲が湧いてくるという。
自然と一体になって、区別を忘れるという閑かな生き方であろうか。忙しさの中、右往左往している私などには到底得ることのできない境地である。
師走のこの季節だからこそのお軸。
「忙中の閑」、今席のテーマではなかったろうか。
忙しいときだからこそじっくり自分自身の周囲を見つめ直し、自然や人と向き合っていくことを教えていただいたお茶席だったのです。
自然の中に少しでも近い所に居たいという思いで、席に坐らさせていただきました。
加藤先生と正客との静かな語らいが続きます。
薄茶席(海眼閣)
床 鵬雲斎大宗匠筆 福聚海無量
花 参平椿
海のように福を集めることができたなら、福徳は広大そして無量
お茶杓は景州老師の作、銘は「雪道」であった。拝見で手にした時、懐かしい老師のお姿が目に浮かんでまいりました。
花は参平椿(さんぺいつばき)、別名「茶筅椿」と呼ばれているもの。
「茶筅供養」の日に相応しいお花に出会うことができました。花びらの中に茶筅の穂先のように咲いてくれるとか。
静かに開いたその後に、花の茶筅でお薄を点ててみましょうか。
そしてゆっくりお話しいたしましょう。
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