風の森通信 第367号
此花
「お茶杓の銘は」
「此花(このはな)と申します」
(写真提供:和の学校 吉田さん)
お茶のお稽古で高橋先輩が応えてくれました。
此花とは梅のことなのだと。
能の曲「難波」に、此花が出てくることも教えていただきました。
仁徳天皇が即位する際、王仁(おうにん)という人が占い、お祝いとしてそのときに詠んだ歌。
難波津に咲くや此花冬ごもり今を春べと咲くや此花
(古今集仮名序)
その歌に詠まれた此花が梅だというのです。
人徳天皇は私にとって、歴史教科書の古墳のページでの記憶しかなく、此花との係わりがあるとは知る由もありません。
大阪に此花区があるのは以前から知っていましたが、梅の花の区名だったということになります。
歴史あるそして素敵な区名です。
お茶のお稽古でこんなお話が出るとは思ってもいなかったこと。
お茶以外にもいろいろと勉強になるのです。
この歌の中に出てくる「難波津に咲く・・・」が記憶にあったのでいろいろと調べてみました。
与謝野晶子の梅歌集の中にやはりありました。
難波津に咲く木の花の道ながら葎(むぐら)繁りき君がいくまで
今日のお稽古は大炉を使った初炭手前、濃茶点前そして薄茶点前。
大炉は一番寒いこの二月に教えていただくお点前です。
六畳の間に逆勝手に炉が切ってあるので、左右が逆の所作になります。畳の入り方も逆の左足から、帛紗も右に付けるので捌くのも右側。頭の中で左右を置き換えながらすすめていくので、普段より時間が多くかかってしまいます。
大炉の寸法は一尺八寸と斉藤先生から教えていただくことができました。普通の炉が一尺四寸ですから一回り大きな炉になります。釜も大きいので持ち上げるのにいつもより力が必要です。そしてその蓋も大きいので、蓋置の位置を変えながらお点前をするのも特徴でしょうか。
頭の体操にもなるお稽古だったのです。
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