風の森通信 第383号
「知足」
床 無着成恭筆 知足
足るを知る。
満足する事を知る人は、不平不満がなく心豊かで落ち着きがあるものなのだと齋藤先生から教えていただくことができました。
欲望がコントロールされ迷いも無く清々しい心の状態。
「知足」はわがままな心を制御してくれます。
「足るを知るは最上の財」そして「知足安分」(ちそくあんぶん)も茶道の理念。一碗のお茶を通して、人間としての生き方をも教えていただける場がお茶室です。
お茶をいただいた後、目の前にあるのはお茶碗だけしか残りません。
常に新しく便利なものが大量に生産され、価値観も多様化している現代において、欲望を膨らますことを抑え「足りているを知る」ことが大切な教え。物の溢れ過ぎている今だからこそ「知足」ということが叫ばれているのかもしれません。
色紙を拝見していると現状を率直に受け止め、それぞれの個性を伸ばしいてくという氏の思い、そして分かりやすさと優しさを感じ取ることができたのです。
無着成恭氏は戦後を代表する教育者です。
私が生まれたばかりの頃「山びこ学校」の実践者、そしてラジオでは「こども電話相談」を長年勤められ、当時の教育関係者に大きな影響を与えました。
現在は大分県国東市曹洞宗泉福寺の住職としてご活躍されています。もう80歳は越えているでしょうか。
お生まれは山形市で、私にとって郷土の大先輩にあたります。
今日のお稽古は透木釜(すきぎがま)を使った濃茶貴人点そして薄茶貴人清次。
透木釜とは写真のように釜の周囲に羽がついているもので、その羽を炉壇に掛け宙に浮かせた状態で使われます。炉の中を釜とその羽で隠してお客様には炭火の見える範囲を狭くし、見た目の暑さを少しでも軽くしようとこの季節に用いられる趣向です。
今月から第一週は小習、第二週目は四ケ伝、第三週は台子そして最後の週は花月と、週によってお稽古の内容を変へながら行っていくと齋藤先生からお話をいただきました。
花月を除いて、生徒一人ひとりのお稽古の内容が毎週異なることになってきます。
炉の季節は今月だけ、もうすぐ風炉に変わっていきます。
ブログ「風の森通信」をスタートしてから早いもので1年2ヶ月が経過しました。
メールマガジンからブログに変えてから、写真の貼り付けが可能となり視覚に訴える力が大きくなったと思っています。言葉だけでは伝わらないところありあり、そこで新たに再認識をすることができたりするものです。
おかげさまで今回で383号を発信することができました。
週に一度だけのスローペースですが、私の些細な思いを知っていただければと思っています。
もうすぐきりのいい番号である30,000アクセス。
30,000番目にアクセスされた方は、当ブログ左側にある「メールフォーム」等でお知らせください。
わずかばかりではありますが粗品をお届けさせていただきます。
これからもブログ「風の森通信」をご講読いただきますようお願い申し上げます。
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