風の森通信 第428号
仙庵「市民茶会」
■日時 平成十九年九月九日(日)
■場所 仙台市太白区茂ケ崎二丁目 仙庵「市民茶会」
仙庵は、昭和四十七年四月に千嘉代子様が、仙台市名誉市民推載を記念して仙台市に寄贈されたものです。
茶室は、裏千家鳳雲斎大宗匠のご指導と、工匠の優れた技術により、精巧を極めた数寄屋造りの建物。
まさに現代日本建築の枠を集めた名席。
仙庵を仙台市民の憩いの場にしようと、裏千家淡交会宮城支部が仙台市主催の「萩祭り」に併せて毎年「市民茶会」を開催し、多くの市民の皆様方に一碗をさしあげているものです。
台風一過の日曜日。
今年は萩の花が咲くのが少し遅れているようです。
午前十時前から多くの市民の皆様がお待ちでした。
■寄付
床 藤井黎支部長筆(前仙台市長) 一天秋
■待合
床 大亀和尚筆 秋月有佳色
■仙庵菓子席
床 清香院様筆 扇面
ふるさとの花咲く春も散る萩の秋の小径も胸に夢みる
花 秋明菊、秋海棠
菓子 着綿(きせわた) 玉澤総本店製
ご亭主の藤井黎支部長様から、「重陽の節句」についてのお話を伺うことができました。
九月九日は五節句の一つで「重九の節句」別名「菊の節句」。
中国では古来からの陰陽説によれば、「九」は一桁の奇数として一番大きな数。陽の究極の数と考えられ、中国の陰陽五行の中の重陽思想から 最もめでたい特別の日とのこと。
そして菓子の「着綿」についてもお話をいただきました。
菊の節句の前の夜に、菊の花の上に丸い綿を被せ、九日の朝に朝露に濡れたこの綿で、体を撫でると老いを拭い去る風習があったようです。
その被せた綿が「着綿」
「着綿」をいただき、少しでも長生きしてみたいものです。
ピンクの菊の上には綿が被せてあります。
とてもおいしくいだくことができました。
土間席での藤井黎支部長様のお話、笑いが絶えずいつも楽しみなお席でございます。
■広間席
床 淡々斎画賛 東離佳色
花 芒、ホトトギス、白秋海棠、金水引
花入 唐物写籠
香合 菊蒔絵四方
釜敷 紅白
風炉先 鳳雲斎大宗匠好み 雲月
釜 菊水地紋 瓢
風炉 土 利休面取
棚 淡々斎好み 大内
水指 仁清写四方 秋の野
薄器 立口棗
茶杓 了菴和尚作 銘 まさり草
茶碗 仁清写 白菊
替 糸菊
蓋置 菊透し
建水 萩 菊彫
御茶 芭蕉の白 芭蕉園詰
東離佳色は、菊の花と酒を愛した陶淵明の飲酒詩の中。
菊を採り東離の下は秋の色が深まったという。
まさり草は菊の異名。
どのお席でも、菊の花や萩の花の上を吹き過ぎてゆく風の色を思い描くことができたのです。
台風が吹き荒れた後の「市民茶会」のご準備、大変お疲れ様でした。
支部役員の先生方には感謝申し上げます。
そしてお茶券のお代が無料だったこと、こんなに楽しまさせていただいたのに申し訳なく思っております。
おかげさまで思う存分この季節を楽しむことができました。
来年も是非伺いたいと思っております。
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