風の森通信
「和の文化」(茶道、短歌、俳句、東北の四季・歳時記)発信ブログ
風の森通信 第455号

牡蠣蕎麦(かきそば)


 お歳暮に生の牡蠣(かき)を贈ろうと思い、一番町の「かき徳」に行き注文を済ませてきた。
仙台は近くに三陸や松島などの牡蠣の生産地があり、食べる機会が多く新鮮な牡蠣が容易に手に入るところである。
届けた先の知人たちはいつも牡蠣鍋でいただくのが多いようだ。
牡蠣の発送をお願いした後、仙台三越にも立ち寄り用事を済ませ出てくると、ちょうど目の前に「さん竹」というそば屋さんがある。
店の前には「かきそば」という立て看板があってまっ先に目に入ってきた。
先方さんへ生牡蠣を発送したのはいいが、私だけが食べていないのも何か物足りなさを感じて暖簾をくぐってしまった。
「さん竹」は季節毎に旬の素材を入れてくれるので昔から通い続けているそば屋さんだ。
全国新そば会加盟のお店で、宮城県内ではこのお店だけである。
春は「白魚」、夏は「あなご」や「ホタテ」。
秋は「松茸」、今の季節は「牡蠣(かき)」と地元の自然の豊かさをそばと一緒に楽しむことができる。
お昼時ということもあって店の中はほぼ満席であった。
相席しかなかったので、和服姿の奥様の前に座らせていただいた。
みるとその奥様も「かきそば」を黙々とすすっていた。

「かきそばお願いします」

店内は席がほぼうまっているのに以外と静かで、そばをすする音がそちらこちらと聞えてくる。
飲食店というのは一般的に、食べるという目的で自然発生的に集まり、人が大勢ということもあって話に夢中になってうるさいものだが、そば屋だけはそのことはあてはまらないようだ。
しばらくすると「かきそば」が運ばれてきた。

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湯気がたって、そばの上には大きな牡蠣が五個どんと置いてあった。

「いただきます」

一番先に右側の一番大きな牡蠣をいただいた。
あの独特の味と食感がなんともいえない。
牡蠣をいただく度に、大人の味だといつも感じて食べている。
牡蠣は子供の頃はまったく食べられないものの一つであった。
食べられるようになったのは社会人になってから最初に「かきフライ」が好きになり、食べているうちに「牡蠣の酢の物」も食べられるようになった。
大人になってようやく抵抗感もなくいただけるようになった。
「かきそば」は静かな味と共に大人の味でもあると思っている。
私もふぅふぅいいながら、すすっていただいてきたのは云うまでもない。

「ごちそうさまでした」

交わした言葉は3回だけ。
お代は1,300円也。


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風の森通信 第454号

「こども茶会」


 ・ 平成19年12月23日(日)午前10時00分〜12時00分
 ・ 宮城県大崎市    祥雲閣    「こども茶会」
 ・ 祥雲閣茶道連盟  会長 中本宗芳氏 (裏千家)

 今回の例会は「平成19年度文化庁委嘱事業伝統文化こども教室」のひとつとして、宮城県大崎市で開催された「祥雲閣茶道こども教室」に参加してきました。
 この教室は6月23日に開講し、これまで12回のカリキュラムが組まれ、盆略点前を中心に挨拶のしかたやおもてなしのしかたなどに取り組んできました。
参加者は小学校3年生と4年生で、6班42名の参加。
ご指導いただいた先生は、裏千家の12名の先生方で行われてきました。
今回は「こども教室」の閉校式。

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 今日の閉校式には生徒たちが通っている小学校の校長先生、お父さんやお母さんなど総勢約200名近くの参加者でにぎわいました。
主役は子供たち。

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子供たちからは「こども教室」に参加しての感想や感謝のことばが贈られました。
祥雲閣茶道連盟会長の中本先生から、「こども教室」参加者全員に修了証書が授与されるとともに、ご指導いただいた先生方から手作りの帛紗もプレゼントされました。
閉校式終了後これまで学んできたことをご披露するため「こども茶会」が和室で開催されました。

・和室
 
  床     大徳寺 立花大亀老師筆 日々是好日

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   花     白玉椿、つくばね
   花入   備前

真っ白な白玉椿が私たちを迎えてくれました。

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正面に座っているお父さんやお母さんの目を見て
    「お菓子をどうぞ」
クリスマスを前に、こんなかわいい主菓子が運ばれてきました。

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  銘 「Happy X’mas」    一心堂製

お菓子や陰出しのお運びは、他の班の生徒たちが担当しました。
教えていただいた盆略点前の所作が、ゆっくりそして丁寧に進みます。間違うこともなくおいしく点てることができました。
お父さんやお母さんも、お茶室で子供たちから点てていただく薄茶は初めてのこと。

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   「お点前頂戴いたします」
お父さんたちの顔を心配そうに子供たちがのぞきこみます。
    「おいしい」
子供たちは緊張から解放されて笑みがこぼれます。   
    「よかった」

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お茶会も全て終了し研修室で記念撮影です。
写真は第4班から6班までの子供たち。
後方3列目一番右側が中本宗芳先生。

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 和の学校仙台分校「お茶を楽しむ会」例会として、初めて「こども茶会」に参加させていただきました。
当初20名の参加者で企画されたとお聞きしましたが、市町村合併もあって希望者が一気に42名の申し込みがあったとのこと。
祥雲閣茶道連盟の先生方そして祥雲閣事務局の方々も、申込者全員を受け入れていくということで大変なご苦労があったようです。
広い地域となった大崎市の中で、古川、鹿島台、三本木、松山などの各地区から、申し込まれた生徒たちがお父さんやお母さんが運転する自動車などで、一回も休むことなく子供教室に通いました。
 子供たちのお点前を見ていると、12回のお稽古だけで習得されたとは思えないほどの美しいお点前でした。
お茶室という空間にいて、最も美しい形で道具を取り最も美しい形でお茶を点てる。
緊張感があったり、軽やかな動きがあったり。
ご指導いただいた先生方のご苦労も大変なものだったと思います。
お点前が少し間違っても、よりおいしく点ててあげたいと思う気持ちと、お父さんお母さんたちの感謝の心でお茶をいただくという気持ち。 所作の美しさも大切なことですが、それ以上にお茶はお互いの気持ちがつくりあげていくということを改めて学ぶことができました。
お父さんやお母さんたちの温かい眼差しが今も心に残ります。
見ていた私までもが背筋がしゃんとなりました。
真剣に点ててくれた子供たちには感謝です。

 閉校式に参加されたお父様から感想をいただくことができました。
「最初申し込んだ時は続くかどうか心配でしたが、私たち親も一緒になってやってこれたのが良かったと思います。お手前をきちんと覚えることは大切なことだと思いますが、それ以上に正しい挨拶のしかたや、将来社会に出て行くときお茶会にも気軽に参加できようになってもらえたらと思っています。」

 「こども茶会」終了後、中本先生からもコメントをいただきました。
「日本の伝統文化をこれからの子供たちにきちんと継承していきたいと思っています。世の中が欧米化し、その中で子供たちの行いが少し乱れてきているといわれますが、あるべき行動や振る舞いというものを、お茶を通して浸透していって欲しいと願っております。今回参加された子供たちの中からまたお茶を継続してやってみたいという声が出ていることもあり、これからもその声に応えていけるよう取り組んでいきたいと思います。」

 中本先生からいただいたコメントは、私たち和の学校仙台分校「お茶を楽しむ会」の大きな目的の一つです。
今回の「こども茶会」を参考にさせていただきながら、私たちも活動を続けていきたいと思っております。今回の例会開催にあたり、祥雲閣茶道連盟の中本先生、吉岡先生、和久先生そして祥雲閣事務局の皆様方には大変お世話になりました。
この場をお借りしまして御礼申し上げます。 (冨樫)  
                   



 先週土曜日は今年最後のお稽古でした。
「行之行台子」そして「台子薄茶点前」
去年の今頃と比べてどれだけ進んでいるのか甚だ心もとないものです。
初釜は年明けて1月6日(日)午後1時からです。


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風の森通信 第453号

屠蘇散(とそさん)


 親しい薬剤師のW氏から、紅花入り延寿「屠蘇散」を頂戴してきました。

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家に帰ってきて、この袋の中に入っている薬草を見て昔のことを思い出したのです。
父がひとりで大晦日にお屠蘇の準備をしていたことを。
あまり酒は飲めない父であったが、お正月のお屠蘇の準備だけはいつも父がしていました。
漢方薬を何種類か混ぜ合わせて作っていた記憶があります。
今になってはどんな薬草だったかなど知る由もありません。
お正月になると父は小学生の私にも「風邪も治るし100歳まで長生きできるからのんでごらん」と言って少しだけのませてくれた。
そのころお酒は甘いのは既に知っていたが、お屠蘇となると独特の味と香りがあったのを不思議なもので今になって思い出しました。「養命酒」に近い味だったのではないだろうか。
最近思い出すのは、何故か小学校6年以前のものが圧倒的に多い。感性が育っていた頃の自分の記憶がこの「屠蘇散」を見てふいに思い出したことになります。
「屠蘇散」で昔の父の思い出とようやく結びつき、お正月の楽しかった思い出の一つとして甦ってきたのです。

 私も父と同じようにお屠蘇を準備してみたいと思っています。
お屠蘇だけでも「自分の味」にしてみてもいいのかもしれない。
とは言っても作り方はいたって簡単で 「屠蘇散」はこの季節薬局などで簡単に手に入るようです。一袋を三合から五合の清酒に入れ、一夜冷たく浸せば翌朝からいただけるというもの。

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無病息災、福寿招来
松の内だけでもチビチビやってみたいものです。
大晦日の楽しみな仕事が一つ増えました。


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風の森通信 第452号

朧月(おぼろづき)


 今日のお稽古は炭付花月、濃茶付花月そして平花月。
土曜日のお稽古のグループだけで五名となったので、月に一度最終週に花月が行われるようになってきた。
個々人のレベル差はあるものの、ルールをある程度理解できれば楽しくやれるものです。
でもいつ花に当たるか分からず緊張感が続きます。
花月は100回やっても朧月。
何回やっても思うようには覚えられません。
さて花月だけで何種類あるのでしょうか。
来年一月の花月は「且座之式」と齋藤先生から予告がありました。
一年前であったろうか、私が東をやった時いろいろお客様にお願いをしました。

  「どうぞお花を」
  「どうぞお水を」
  「どうぞお炭を」
  「どうぞお香を」

さて次回の「且座之式」ではどんなお役目にあたるだろうか、今から勉強をしておかなくてはなりません。
合い間に出された主菓子は銘が「聖」

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仙台「ひろせ庵」製。
鈴の音が聞えてきそうです。
もうそんな季節となりました。

 来週が今年の最後のお稽古。
最後ということもあるのでしょうか、齋藤先生から「行之行台子をやります」とのお話。
いままで書き込んできたメモをまた見てみることにいたしましょう。


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風の森通信 第451号

メタセコイアの落葉



  土に生きやがては土に還り行くメタセコイアの落ち葉輝く

                        H19.12.9 冨樫 通明


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 仙台の今朝の気温は4度、散歩をしていて陽はあたっても手袋はもう必需品です。しばらく歩いているとメタセコイアの落ち葉が一面に広がっています。
その一枚を拾って毛糸の手袋の上にのせ写真に撮ったものです。
一枚の葉というより小枝でした。
落ち葉を手にとってみると綺麗に輝いています。もうすぐ雪が降り始める前のひととき、落ち葉は最後の輝きを見せているのでしょうか。

 メタセコイアの木は私が住む泉パークタウンの入口に数多く植えられいます。木の成長は早く樹形が円錐形をしていて、美しい落葉性の針葉樹です。
その木々は四季を通じて色とりどりに変化してくれます。
初夏の新緑、秋の紅葉。
冬には枝に雪が降り積もった姿が特に美しいものです。
カタカナで名前が書いてあったり、針葉樹ということもあるからでしょうか以前は北ヨーロッパや北米にあるものかと思っていました。ところがセコイアは日本各地で化石として出てくるというので、ずいぶん昔から日本にあった木のようです。
葉は枝に対生しているので複葉に見えます。
この時期には赤褐色に紅葉し、小さな枝ごと落下し地面いっぱいに広がります。

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泉パークタウン内では他に街路樹としても数多く見つけることができます。周囲の木よりも一段高く悠然とそびえ立っていてよく目立ちます。

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 三菱地所の粋な計らいで、昨年から泉パークタウンのメインストリートのメタセコイアの木々に、数万個のイルミネーションが飾り付けられるようになりました。
落ち着いた光りが、私たちに豊かな時間を与えてくれます。
冬の夜はパークタウンの至るところでイルミネーションが輝き、訪れる人々を温かく迎えてくれます。
光りにつつまれたこの街は、人も自然も急ぐことなくのびのびと暮らせるいい街なのです。
一度足を延ばしてみませんか。
近くには県立図書館や宮城大学そして仙台ロイヤルパークホテル、泉パークタウンゴルフ倶楽部があります。 

 昨日のお稽古では床には西行の寺落葉の歌が荘られました。
年に一度しか拝見できないお軸や色紙を、齋藤先生はお選びになられ私たちを迎えてくれます。12年に一度のものが荘られる時さえあります。
この色紙は年に一度だけそれもこの季節だけのもの。
お茶はいかに季節を大事にしているかを改めていることができます。
花は初嵐。
一輪の花だけであっても、しっかりとその位置を占め存在感があるものです。
 初炭手前、台天目点そして炉の流し点。
流し点では14日の討ち入り話で盛り上がりました。
14日(金)仙台市北山輪王寺で宗偏流による大寄せがあるとのこと、土・日であれば伺ってみたいところです。
来週はまた花月とのこと、楽しみです。


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風の森通信 第450号

深紅(ふかきくれない)


 この紅葉は宮城県岩沼市にある竹駒神社参道の紅葉。

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色は「深紅(ふかきくれない)」と私は思いますがいかがでしょうか。読み方としては(しんく)とも読めます。
深紅色とは紅花で繰り返し濃く染めたものといわれています。
王朝文学にある紅花で八回染めるという「八入(やしお)」の紅もこの色であろうか。
燃え上がる気持ちを私に伝えてくれた後、紅葉たちはカサカサ、カサコソとないしょ話をはじめます。
参拝した後、記念に記帳もしてまいりました。

 赤のイメージはやはり人間の体の中を流れている血の色。
季節ごとに咲く花の色を見て、どうしてこんな赤い色が出るのかという不思議。
枯れていくものだけが放つ赤。
口紅の色。
炎の色。
空の夕焼け。
そして万物の色を染めている太陽の色。

「深紅」は島谷ひとみの歌にも出てきます。


     深紅の空 燃え立つように
     信じる強さ 求めてく
     二つの鼓動 溶け合うとき
     生きる意味がそっと変わる

     深紅の炎 目覚める空
     私がここにいるしるし
     あなたに今 刻むように
     無垢な花になって歌う


その色はときめき、喜び、力強さ、儚さ、そして感動。

青空にまだ残っていた林檎、そして夕焼け雲もまた赤い色でした。

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風の森通信 第449号

山茶花(さざんか)


 庭にある広葉樹の木々はみな葉を落としてしまいました。
すっきりしたのでしょうが、それはそれでまた寂しい眺めです

 ハガキを出そうと、久しぶりに下駄を履いてカラコロカラコロ外に出てみました。
ご近所のお宅の垣根がずっと続きます。
色のなくなってきた景色の中、山茶花がひときわ明るい彩りとなって目に入ってきます。

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小学生の頃に習った「たき火」の歌が思い出されます。

   さざんか さざんか さいた道
   たき火だたき火だ 落ち葉たき
   あたろうか
   あたろうよ
   しもやけ おててが もう
   かゆい

 紅葉が終わった頃から、冬の訪れを促すようにこの花は咲いてくれます。
秋から冬の寒さに向かうこの季節になぜ咲くのでしょうか。
寒空の下ひたむきに咲く山茶花。
子供の頃から雪と一緒にあった花というイメージが残っています。
花の上に雪をのせている姿がとても印象的でした。

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綺麗に咲いていたので近寄ってみると、かすかな香りがあることを知りました。
あまりの美しさにそっと触れてみました。
ハラハラと散ってしまいます。
なんとも儚い花でございます。
垣根を曲がれば北風ピープー吹いてます。

今日のお稽古は和巾点そして平手前での自服。


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