風の森通信 第494号
杜の都大茶会
ご報告が遅れておりましたが、和の学校仙台分校「お茶を楽しむ会」第35回例会のご報告をいたします。
・ 日時 平成20年5月24日(土)午前9時30分~
・ 場所 仙台市青葉区勾当台(こうとうだい)公園
・ 主催 杜の都大茶会実行委員会、宮城県芸術協会
万緑の仙台。
勾当台公園のすぐ近くにある定禅寺通りを歩けば、欅の樹海の上をすがすがしい風が通り過ぎていきます。
さまざまな緑の色は、重なり合ったり離れたりしながら輝き続けます。
そんな季節に第13回「杜の都大茶会」が、宮城県庁前にある勾当台公園で土・日の2日間にわたり盛大に開催されました。
仙台では藩祖伊達政宗公以来盛んに茶の湯が行われ、歴代藩主もまた茶室を造り家臣らを招いてたびたび茶会を催したといわれています。
その流れは現代にも受け継がれています。
宮城県芸術協会茶道部連盟の下、県内の13流派は抹茶・煎茶の野点席でそれぞれ趣向をこらし毎年お客様をお迎えしています。
今年で13回目となる「杜の都大茶会」は、市民の皆様方にもすっかり定着し、気軽に参加できるお茶会として毎年一万人近くのお客様でにぎわいをみせます。
一服のおもてなしに宿る ” ひと もの こころ ”
■立礼席
主 武者小路千家宮城官休会 若林 守有 氏
床 色紙 不徹斎筆 雲水山岳青
雲も水も流れ去り、空が晴れ渡ればそこには青い山並み。
雲や水などの一切の迷いが去った後、そこには青々とした光を放つあるがままの山の姿が見えてくるという。
仙台の青葉の季節に相応しい色紙でした。
花 利休草、蔓鉄線、姫紫苑
花入 鈴 貞光造
花入れも鈴という珍しいもの。
花入の中にはなにもなく、それぞれの花がだだ入れられているだけというものでした。
竹の太さと鈴のバランスがよくとれ、花入の中央に露を含んだ花々が配されていて、初夏の野にある花の風情です。
風炉
釜 朝鮮切合 紹栄造
水指 辰砂 小林潤呼造
茶器 あやめの絵 加藤自呂造
茶碗 印毛目 三浦飛白造
替 真葛 源氏車 香斎造
茶杓 大亀老師作 銘 清風
蓋置 淡紫交趾 青海波 一如造
建水 沢栗 治造
御茶 祥寿の代 よろづ園
菓子 青梅 玉澤総本店
茶器は仙台の蒔絵師加藤自呂造、あやめの絵が描かれ蓋の裏まで細やかな筆遣いです。
拝見する角度によってその輝きが違って見えてきます。
蓋置は淡紫交趾(こーち) 青海波。
青海波とは扇状の波を交互に重ねた文様のこと。
青い海からは幸福がもたらされるといわれ、昔から吉祥の意味のある文様で、おめでたい席に用いられてきたものです。
武者小路千家宮城官休会が宮城県芸術協会に加盟されてちょうど10年目。
おめでたいお席でおいしいお茶をいただくことができました。
当日は他に6流派(裏千家、江戸千家、煎茶三彩流、織田流煎茶道、大日本茶道学会、玉川遠州流)で釜が掛けられました。
裏千家席でも朝から多くの市民の方々でにぎわっておりました。
そのなかで初心者を対象にした体験コーナが設けられました。
盆略点前で実際にお茶を点てていただこうというもので、OLや学生そして子供たちまで参加して大変好評でした。
緑深まったのこの季節、体の外そして体の中まで緑色に染まった一日だったのです。 (冨樫)
【参加した会員の皆様からの感想】
いろいろな流派のお席を、一度に拝見できる機会がなかなかありませんでした。
私が参加したのは裏千家席と三彩流のお席だけでしたが、お花やお道具など季節の趣向が出ていて楽しくお茶をいただくことができました。
あまりにも多い参加者なので待ち時間が長かったように思います。できれば待ち時間を短かくしてもらえれば、もっと他のお席もゆっくり回りたいと思いました。(由)
帛紗の捌きかたが流派によって違うということがよく分かりました。それぞれ個性のあるものでしたが、おいしいお茶をいただくのはまったく同じですね。
いろいろなお席を楽しく拝見することができました。(山)
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