風の森通信 第525号
残花
床 隠山惟琰筆 一圓相 心月弧圓 光萬象含
花 琉球ほととぎす、すすき、狗尾草
花入 鶴首
お稽古も夕方の五時を過ぎる頃、あたりはすっかり薄暗くなりっておりました。
それでも齋藤先生は蛍光灯をつけることはありません。
見渡せば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕暮れ
藤原定家が晩秋の風景を歌ったものです。
この「わび」や「さび」を積極的に受け入れたのが武野紹鷗といわれています。
この季節は草木のもつ本来の風情が床に荘られます。
花を入れる行為は、亭主の心が表面にあらわれることに他なりません。美しい花だけでなく、季節の移ろいを感じさせてくれる花こそ名残りの季節に似合います。表面的な美しさをあえて否定し、外側からは見えなくても内面的な美を求められるのが茶道。
齋藤先生の駐車場の片隅にある庭には、いろいろな残花が咲いておりました。
白桔梗
鉄線
貴船菊
日本文化に共通するものといえば、季節感を積極的に取り入れていること。万物が滅び行くさまを一瞬の美といわせ、それをいとおしみながら楽しむ茶道は、まさに日本文化の代表といえるのかもしれません。
今日のお稽古は五行棚での帛紗包、そして茶入に弦付(つるつき)を使った薄茶点前。
来週で風炉を使ったお稽古もお仕舞となります。
どんなお花やお点前が待っているのか今から楽しみでございます。
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