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風の森通信 第708号


山形「清風荘月釜」



■日時:平成22年11月14日(日)午後2時00分~
■場所:山形県山形市  清風荘 宝紅庵茶会
■主催:裏千家 高内 宗睦 氏

 久しぶりに山形清風荘での月釜です。
清風荘のあるもじ公園内は紅葉の見頃を迎え、多くの観光客の方々でにぎわっておりました。


■ 寄付

寄付に入ると、棚には玄猪包が飾られていました。

待合床
     小山栄達筆  秋庭温酒之図

紅葉の散ったお庭で牛車を停め、酒を温めながら主人の戻るのを待っているのでしょうか。
寄付を出ればそこは内露地。

まだ外には雪はありませんでしたが、雪国のお茶室ならではの風情です。石を渡っていくと途中に躙口があります。

■ 濃茶席

床     淡々斎筆  関

濃茶席が第一関門。
畳の上に置いたのは車の鍵。
東西南北活路に通ず。
この関所は通らなければ意味はないし、ただ通っただけではこれ又意味を持たない。

  花     初嵐 まんさく
  花入   萩 杵型         十二代田原陶兵衛造

  香合   鳴海織部

  釜      筋釜  京釜 
  水差    古備前
  茶入    古瀬戸肩付
    仕覆   和更紗
  茶杓    大亀老師作 銘 佳キ日

  茶碗    赤楽              弘入造
    替     黒               一元造 玉水焼
    〃     瀬戸             作助造
    〃    伊羅保            出雲 権兵衛窯
   蓋置   青竹引切
   建水   曲
  御茶    菊昔             宇治辻利詰
  菓子    亥の子餅           松兵衛製
    器    一閑塗四方盆       飛来一閑造
    〃    染付             湖東焼
    〃    四方             赤膚焼
    〃    柿型             大樋焼 

「神奈月時雨のあめのあしごとに我がおもふことかなへつくつく」
今日は「佳き日」、花入は餅をつくための「杵型」、いただいたのは「亥の子餅」、そして器は「四方盆」、建水の「曲」は曲水の宴を想像させてくれます。
聖上の御紋は「菊昔」、仕覆の和更紗の白がとても印象的なものでした。
「いのちつくつかさ」
「いのちつくさいわい」
優雅な儀式を見ているようなお席でございました。
赤楽でいただいた御茶は誠においしく、楽しいひとときを過ごすことができたのです。


■薄茶席  

床     玄性和尚筆  丹頂寿千年

  花     石蕗
  花入   竹一重切  孤蓬庵寛海和尚作 銘 無心

  香合   祥瑞  蜜柑

 風炉先   鵬雲斎大宗匠在判     奥村吉兵衛造
 釜      重餅              佐藤正八造
 炉縁    菊高蒔絵

 棚      淡々斎在判 八千代棚  岩木裕軒造

 水差    高取写菱型管耳      須田祥豊造
 薄茶器   中次 流水に紅葉蒔絵
 茶杓    寛道和尚作 銘 呉竹

 茶碗    萩               十二代板倉新兵衛造
  替     松古窯 宝尽し       佐々間芳丘造
  蓋置   三ツ人形           寿宝造
  建水   唐銅 鵬雲斎好
 御茶    金輪              丸久小山園詰
 菓子    俵和三盆            亀広永製
        むかご
   器    敷き松葉四方盆
 莨盆    文筥              鈴木表判造
 火入れ   青磁 単瓢          宝山造

 「八千代棚」は淡々斎のお好みで、利休好みの旅箪笥をもとに作られ、本歌には清香院様の御筆で君が代の小色紙が貼ってあることからこの名がつけられたと紹介をいただきました。
水指は「管耳」と笛の音が流れてきそうです。

皇室の内親王たちのお住まいであった建物が「呉竹寮」と言われ、お席ではお茶杓の銘「呉竹」として拝見することができました。
炉縁は「菊高蒔絵」、御茶は「金輪」、替は「宝尽し」
濃茶席でつかれた餅は薄茶席では重餅としてかざられ、いただいたお菓子は黄金色の俵が菓子器に積み重ねられており他に「むかご」が出されるなど、豊かな実りと子孫繁栄を願うものだったのです。
薄茶席でも幾久しいご繁栄をと願わずにはいられません。



【参加者からの感想】

 濃茶と薄茶を同じ流れで体験できるお茶会は、滅多にないこと。
濃茶席での出来事すべてが薄茶席につながっていて、そうと気づけばまるで謎解きのように楽しく、感動いたしました。
そして何よりお茶が美味しくて。
11月のお正月を満喫してまいりました。(金澤)

 亥は陰陽五行説では水性に当たり火難を逃れるといわれ、亥の日に炉開きをし火を使っても安全であるともいわれてきました。濃茶席そして薄茶席で、その儀式に参加させてもらったような気がいたします。
帰り際、寄付に飾られていた玄猪包を改めて拝見させていただき、両のお席での温かな心に残るお土産を包んで帰ることができました。包みに挟まれていた葉はもみじ公園の紅葉に違いありません。
高内先生との出会いと、心あたたまるおもてなしそして名器の数々、お席の様子が今でも心に焼きついてやみません。
先生にはこの場をお借りし厚く御礼申し上げます。(冨樫) 


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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大そして、昔からあった美しい東北の四季とそれを彩る催しを発信していきます。ドイツで生まれたVEEH HARFE(ヴィーハープ)演奏にも取り組み、癒しの音色をお届けしていきます。

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