風の森通信 第718号
完熟柿
昨日は山形で結婚式があり、帰りに実家に寄ってきました。
お茶をいただいている時にテーブルに出されたのは完熟柿。
大きさというより高さが十五cmほどもある大きな柿でした。
近くの親戚が先日柿の木から取ってきて届けてくれたという。
柿の名前は蜂屋柿。
上から四等分に切ってあります。
皮を手で剥きスプーンで触ると、ぷにゅぷにゅしています。
冷たくて柔らかく甘い味が口の中に広がります。
それは柿の甘みがぎゅっと詰っているからでしょうか、まるでよく冷えた柔らかい羊羹のような和菓子でも食べている感じがいたします。
山形では柿の収穫時期が終わっても、実をとらずにそのまま枝にたくさん付けている風景によく出会います。
どうして取らないのだろうと不思議に思っていたものです。
もぎ取る人手や手間がないからだろうとばかり思っていましたが、どうもそれだけではないようです。取らずに木にそのままにしておいて自然に完熟させ、一切加工などはせずいただくわけです。
そしてこの季節になると雪をかきわけて柿の木によじ登り、形が崩れないように下から手でしっかりと持ち丁寧に枝からもいでくるという。やわらかいので、届けてくれるにも形が壊れないようにと大変であったようだ。渋みがまったく無くなったお正月の頃にこうしていただくので、果物の究極の完熟の甘みといえるのではないでしょうか。
大きな柿を作るため余分な蕾や形の悪い実をとったり、残った柿に養分を行き渡るようにしているらしく、時間と労力がかかっていると聞きました。そのせいか通常の柿の倍以上の大きさになって、形も先が尖ったトマトのような形をしているので、簡単に他の柿と見分けがつきます。
兄が言うにはビタミンAやカルシュウムやカリウムも多く、肝機能障害の予防やアルコールを分解する働きもあるらしい。そういえばお酒を飲んだ後、母によく柿を食べるようにと言われた記憶があります。この頃には渋みもすっかりなくなり食物繊維もあるらしく、便秘予防だけでなくコレステロールを減らし一緒に排泄する働きもあるようです。
こうしてみると蜂屋柿の完熟は、なんとも贅沢な食べ方とその甘さそして良薬でもあるわけです。
この完熟柿を仙台で作ろうとしたら、いただく前にきっと鳥たちに全部食べられてしまうに違いありません。
やっぱり山形で寒いこの季節にいただくのが一番のようです。
それに蜂屋柿は、福島県伊達郡特産の「あんぽ柿」にもなるもので私の好物でもあります。
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