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風の森通信 第772号


端渓硯


 今日のお昼前、仙台市太白区在住のМ氏宅を訪れた際「端渓硯」をいただいてきました。
書家であったお父様が使われていた大切な硯です。

横12.8cm、縦19.3cm、高さ2.4cm重量1.371kgで木箱付き。
色は青黄にちかい紫でしょうか。
丘の手触りの感覚はまるで赤ちゃんの肌のようにつるつるです。石質はきめ細やかでしっとりと潤っていて艶のあるものでした。長年丁寧に使い込んできたものでしょうか、風格さえ感じ取ることができます。そしてあまり目立たない銀線ですが、左上から右下に向けて二本走っているのも見えます。
石紋は雲が流れているような様は美しく繊細なもので、丘や海そして裏面にも現れています。
この石紋があるだけでも価値のあるものだということが一目瞭然です。手にしているだけでついその石紋の美しさに見入ってしまいます。この硯を見ていると、過去の中国や日本でどんな文人が使ってきたのか、歴史に思いを馳せてみるのもまた楽しいものです。
 明日は実際に硯に水につけて墨を磨り、筆字で書いて確かめてみることにいたします。
最近は先生方に筆で手紙を書く機会が多くなっていたので、明日からは端渓硯で墨を磨って書くという楽しさがまた一つ増えることになりました。
 この「端渓硯」はМ氏のお父様からの大事な預かりもの。
よく私のところに来てくれました。
これからは奥にしまわずに毎日水を含ませ、大事に扱い次の世代に引き継いでいきたいと思っています。

 もう一ついただいたのは小振りの硯です。

一目見ると達磨さんのような姿をしている硯です。
底辺横8.2cm、上辺横4.0cm、縦12.2cm、高さ2.4cm重量は217gで、硯石本体に合わせ設えたかわいい木箱が付いているものです。
海の大きさはかな文字を書くのにちょうどいいようです。
こちらも大事に使われていただきます。
「端渓硯」等の他に、篆刻のお道具の印材や印泥、印刀などたくさんいただきました。
М氏にはこの場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

 私の硯の思い出は、父が手紙を書くとき墨を磨る役がなぜか一番末っ子の私だったことが思い出されます。
こうして「端渓硯」を手にした今、また昔と同じように硯に向って墨を磨ることになりました。
ただ墨を磨ることだけを考えていた子供の頃とは違い、年をとったぶん墨を磨っている時間に相手の方を思いやることができたり、どんなことを書こうかなどと思いを巡らしたり、その思いは年とともにだんだん深くなっていくに違いありません。
先人から受け継いだいろいろなお道具は、丁寧に扱って多くの人たちにその良さを伝え、そして引き継いでいきたいと思っています。
このことも今の私に与えられた一つの役割なのかもしれません。
端渓の硯は単なる道具を越え、私たちの心を豊かにしてくれる存在なのです。


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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大そして、昔からあった美しい東北の四季とそれを彩る催しを発信していきます。ドイツで生まれたVEEH HARFE(ヴィーハープ)演奏にも取り組み、癒しの音色をお届けしていきます。

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