風の森通信 第860号
『胡服(こふく)人形手』
『胡服(こふく)人形手』は、S先生のお母様がS先生に持たせてくれた古帛紗のうちの一つです。
この古帛紗について先生からのコメントをご紹介させていただきます。
「胡服とは、中国北方の遊牧騎馬民族 匈奴の衣服で、半年間冬という気候の山岳の地において、早く春になって馬や羊に乗って遊びたいという願いの紋様と伺いました。
胡服の衣装は春のお祭りで使われるようになり、胡服騎射の弓矢のかわりに琵琶を持つと言われています。
武霊王を題材にした話の中に胡服がでてくると聞いております。
もともと人形が好きな私はこのお話を聞いて、春を待つ浅葱色の『胡服人形手』がお気に入りになりました。
裂地に限らず、可愛い唐子の紋様につい引かれてしまいます」
今日のお稽古は、釣釜を使っての後炭手前、行之行台子そして貴人清次でした。
所作の全てが丁寧であるということをお稽古をする度に思います。
お道具を大事にするという表れでしょうか。
お点前の中で丁寧にお道具を扱う。
丁寧に扱うことは丁寧な時間を過ごすこと。
そして丁寧な時間を過ごすことは、丁寧な人生として生きていくこと。そう感じたのは、行之行台子そして貴人清次のお点前だったからかもしれません。
お稽古をするということは、丁寧な人生を生きつづけるための一つの訓練のようなものだと私は感じています。
「お茶杓の銘は?」
「その如月の望月の頃と申します」
と応えてみました。
少し長い銘となりましたが、私にとって思いがたくさん詰った銘なのです。
明日は研究会に参加予定です。
大炉を使って、初炭手前、濃茶点前。午後からは後炭手前そして薄茶点前。
とても楽しみでございます。
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