風の森通信 第1002号
第五十二回 宮城県芸術祭茶会 薄茶席
■日時:平成二十七年十月二十五日(日)午後一時~
■場所:北山輪王寺 書院
■亭主:石州清水流道閑十四代 清水道玄氏
伴東:石州清水流道閑会社中
風強く木々のざわめきが、時雨の如くに輪王寺書院の席まで届いてまいります。
床
大徳寺芳春院三重野与雲老師筆 吾心以秋月
吾が心秋月に似たり
碧覃清うして白く清らかで汚れは無く
物の比倫堪えたるも無し
我をして如何説かん
心は満月の如く円相として表されます。
今の私の心境はちょうど秋月のように清く一層輝き、冴え冴えと澄み渡ってきます。
しかし現実には私の心の月は円満とはならず、五欲煩悩の雲に閉ざされ、清く澄んだ心境とは無限の乖離の如く至っておらず言葉にもならないのです。
大徳寺芳春院は流祖片桐石州公の菩提寺。
今年の中秋の名月は八月十五日、そして今日は陰暦九月十三夜の月で“栗名月”
十五夜または十三夜のどちらか一方しか観ないことを“片見月”または“片月見”と呼び、縁起が悪いと昔から言われてきたようです。
幸運なことに今夜の月は雲もなくきれいに拝見することができました。
花 野路菊
花入 曜変結晶釉 岩井純作
香合 埋木 小竹孝作
花は野路菊が七輪。
その野路菊はお家元のお庭に咲いていたお花。
石州好みのお棗や香合は七ツ美として用いられているようで、お家元が今朝切った野路菊の花の数も七輪。
花入は在仙陶芸家の岩井純氏の若かりし頃の作品。
曜変結晶釉で澄み切った秋の夜空や、寒山の深い緑の渕とも思えるような色彩の花入が荘られていました。
香合は埋木で秋保在住の小竹孝氏の作品。
風炉 透紋三日月
釜 管耳 角谷与兵衛作
水指 萩 小高正峰作
薄器 月見兎 中村湖彩作
茶碗 現川 横石臥牛作
替 信楽 高橋楽斉作
茶杓 十代清水道先作
建水 秋田曲 亭主好
蓋置 竹引切 十二代清水道幽作
茶 仙雲の昔 井ヶ田園茶舗詰
菓子 雁 宮城の萩 森の香本舗製
器 会津 亭主好
お席のテーマは“月”だったのでしょうか。
晩秋に見るお席の月もまた清々しい月だったのです。
輪王寺後にする頃さきほどの時雨は虹を伴いてあり
2015.10.25 冨樫通明
お席の写真撮影並びにブログ掲載はお家元からご了解をいただくことができました。
誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
掲載写真はスマホで撮影のため、解像度が悪くなっておりますことご容赦の程願います。
昨日のお稽古は中置での初炭手前、貴人清次濃茶そして貴人清次薄茶。
来週は月に一度の花月の週です。
さて、、、照葉や実のものを探しておかなくてはなりません。
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