風の森通信 第2031号
定家葛の季節
今もなおまとわり絡む定家葛門扉も覆い尽くす思いよ
2016.5.31 冨樫通明
今年も定家葛の季節となりました。
門扉の右半分が定家葛にまとわりつかれています。
階段を登って近づくと辺り一面甘い香りがしてきます。
テイカカズラという名は謡曲の「定家」に由来すると言われています。
平安時代の終わり頃、後白河法皇の第三皇女式子内親王は幼くして賀茂斎院となり、十年にわたって神社に奉仕していたが病のために退いた。この頃、歌人として有名な藤原定家が皇女を慕っていたが、皇女は独身を守って49歳で病気のため亡くなった。それでもなお皇女を慕った定家は、蔦葛(つたかずら)となって皇女の墓石にまつわりついた。
皇女の霊が自分の墓に蔦葛がまつわりつく苦しみを、旅の僧に訴えるというものだそうです。そこから「つた」のことを定家葛と言うようになったというものです。
(参考:万葉植物事典 北隆館、週刊朝日百科 植物の世界 85 朝日新聞社)
別名、マサキノカズラともいい、古今和歌集に詠われています。
み山にはあられふるらしと山なるまさきのかずら色づきにけり
咲き出した頃は風車状の真っ白な花なのですが、咲き進んでくると花の中央から淡黄色に変わってきます。一斉には咲かず長期間にわたってポツポツ咲いてくれるのでしばらく花も香りも楽しめます。
秋には紅葉して風情のある花なのです。
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