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風の森通信 第2306号


被災、復興再建のよろこび、またひとつ・・『庚申塔』


 書家であり郷土史家でもある熊谷喜美雄氏(大震災で被災して仙台移住)から再び朗報が届きました。
累代七世が造立した「大日如来石像」が復興再建されて一年。(本稿第2253号 2020/12/17
今ひとつ、心に宿していた「庚申塔」が今回の主役。


移建された庚申塔 高さ1m18cm 幅(最大)68cm 周り(最大)2m
古谷館八幡神社境内から大島・亀山を指呼の間に望む絶佳のロケーション

〈写真をクリックすると拡大されます:以下同〉


震災前、「大日如来石像」に程近い田んぼの道端に件の塔は佇んでいた。


往時の庚申塔 平成2年(1990)11月28日撮影


これも大津波であえなく流失。激浪にもまれて大海に流され、引き返す波でおよそ10mの丘陵を越えて着地した先は田んぼ。
 数年後、復興事業に携わる人たちの手で地中深くから掘り出され鎮守様の境内に移建された。
熊谷氏はこの庚申塔の謂れを明らかにして、後の世に伝えたいとこの度説明板を設置したもの。
(自費製作)以下は同氏の寄稿文。


庚申塔由来の文 令和3年(2021)10月15日説明板設置


〖 講中11人の名 〗

 文政八年(1825)建立。
講中11名の名が刻まれている。故地の人たちだ。
生業に身を入れるかたわら、講中を組んで神仏に願掛けた事績と信仰の証を残そうとしたのだろう。
 庚申塔は室町時代末期の板碑と結びついて現れ、江戸時代盛んに造られた。
 
〖 意外と知られていない「庚申信仰」と三尸説 〗

 民俗学は広範多岐。庶民宗教では「庚申信仰」は不可欠な分野。
十干十二支の「庚申」(かのえさる)の夜に身を慎んで徹夜すると、長生きが叶うという中国の道教に由来し始まりは平安時代。
貴族社会で行われ中世になると武士や僧侶・庶民にも広がった。
 人間の体に「三尸」(さんし)の虫がいて、庚申の夜に眠った人間の体から抜け出して天に昇り、天帝に罪過を告げて命を縮めるというので眠らずに夜を明かすという「三尸説」を基としている。
天帝とは閻魔大王。
 信仰の本尊は青面金剛(しょうめんこんごう)で三尸を押し止める神、さらに、猿田彦神(さるたひこのかみ)と結びついて神道的な要素が入った。
 庚申の「申」は猿に通じ庚申の使いとしたもので、碑や掛け軸に三猿「見猿・聞か猿・言わ猿」の姿が描かれ彫られているのはここから来ている。
 
〖 全盛期は江戸時代文化文政期 〗

 庚申の日は60日に一度巡って来る。
当番の家に集まって青面金剛や猿田彦神を祀り、般若心経を唱えて飲食をともにして夜を明かした。
 全国に様々な形をした庚申塔が残っているが、その多くは江戸時代のもの。
庶民間で厚い信心が起り、村々の集落ごとに講が組まれて盛行した様子が窺える。
   
〖 祈念と記念の庚申塔 〗

 庚申塔は3年18回続けた記念に街道沿いや村の境目、辻に建てられた。流行り病に罹らないよう健康長寿の願いが転じて、悪疫・災いが村に入り込まないように願掛けしたことを物語る。
「コロナ禍」は衰微をたどるとはいえ、緊張は続く。
古今、息災は命題ーーー様相は異なるも、庚申塔は¨アマビエ¨の全国版になり得たと憶測するのです。

 〖 庚申信仰の結末 〗

 災危を遠ざけて息災を祈った信仰は、単に「庚申様」と称し農耕の作神として豊穣を祈るようになり、明治大正以降も続いた。
が、生活様式などの変転によって次第に廃れ講は解散を余儀なく。
全国の顛末は詳らかではないが、故地のそれは昭和30年代に解散したと記憶している。

 ■■■

 かの大変で被ったこころのキズは異質で癒し難く忘れることはない。
小生もそのひとり。
郷土の先人の物証事蹟を復興再建し、後世に伝え残そうとした願いごとは10年の歳月を費やして漸く叶う。
晴れやかなこころで新しい年を迎えそうだ。


神社位置図 三陸自動車道 気仙沼中央IC下車約5分



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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大そして、昔からあった美しい東北の四季とそれを彩る催しを発信していきます。ドイツで生まれたVEEH HARFE(ヴィーハープ)演奏にも取り組み、癒しの音色をお届けしていきます。

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