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風の森通信 第413号


「朝茶事」の亭主役

 
 昨日は朝茶事がございました。
それもご亭主役という初めての体験です。
私は斎藤先生の門を叩いてちょうど五年目。
このような機会を作っていただいた斎藤先生には感謝でございます。
案内状も筆で書いてお届けし、会記は何度もチェックを繰り返し皆様方にもお渡しすることもできました。
形にして残すことは、今回のお茶事での目標の一つでした。

 朝の四時に目を覚まし、ひととおり「朝茶事」の本を読み直して最後のイメージづくり。
その後朝風呂に入って体を清め、袴をはいて斎藤先生のお宅に伺い挨拶の後、「森の香(もりのか)」さんに予約していたお菓子をいただきに車を走らせました。
正客になっていただく宇さんが、東京から新幹線で仙台駅に着いたのがほぼ同じ時刻だったので車でお迎えしました。
宇さんは以前同じ社中でお稽古していたお方です。
アメリカ帰りでまだ本調子ではなかったようでしたがお元気なご様子。
斎藤先生宅に戻ってお道具の点検や露地の確認、半東(はんとう)役の高橋先輩と詳細な打ち合わせ。
待合床は「雲悠々水潺々」 (くもゆうゆうみずせんせん)
本席は「響」 (ひびき)
そうしているうちにお詰をお願いしていた高さんと三客の石さん、そして三十分前には次客の岩さんがおいでになり待合にご案内。
迎付、皆様方とのご挨拶。

photo_19071400.jpg

初炭手前、懐石と進みます。
今回は立礼(りゅうれい)席での朝茶事ということもあり、いつものお茶事とは異なり足は痺れることもなく初亭主役の私には有り難いことでした。
煮物と進肴(しいざかな)は、社中の皆様が持ち寄られたものを遣わせていただくことができました。
本来ならば亭主が準備するところですが、皆様方からのご好意もありそれぞれのお宅のお味を楽しんでもらうことができました。
車でおいでになったお客様が多かったので、お酒は冷えた「甘酒」でおもてなしをさせていただきました。
八寸(はっすん)の海の物にははたはたを軽く焼き、山の物には空豆を茹でました。
千鳥の盃も初めてのこと。
斎藤先生にアドバイスをいただきながら進みます。
同じ社中の皆様方ということもあり席中の会話も弾みます。
懐石の最後は湯斗に香の物。
そして主菓子は森の香製「観世水(かんぜみず)」
菓子器は六華窯(りっかがま)の岩井純氏のお作「天目釉菓子器」でお出しすることができました。
岩井純さんは次客となっていただいた岩さんの御子息。
菓子器の天目の色合いを楽しんでいただくために、透明な「観世水」をのせてみました。

「お菓子をお召し上がりのうえ、席を改めとうございますので中立ちを」

掛物を拝見し巻きあげ、入り船での紫陽花と縞葦を入れてみました。
お茶事で花を入れて露を打つことも初めてのこと。
私の記念の写真でございます。

photo_19071402.jpg

後座の用意ができ銅鑼(どら)を鳴らして後入の迎付。
茶碗は高取井戸、お茶は大正園詰「青葉の昔」

「陽も高くなりご連客の皆様方にはご迷惑かと思いますので、続いて薄茶を差し上げます」

準備していた煙草盆を運び、干菓子は秋田杉四方盆に森の香製の「七ヶ浜」そして「波」

photo_19071407.jpg

主茶碗は波佐見焼(はさみやき)の平茶碗、替茶碗はガラスそして薄茶は井ケ田園詰「翠芳(すいほう)の白」
ゆっくり点てさせてもらいました。
連客の皆様方にのんでいただいた後、お正客様からの強い要望で斎藤先生そして先生のご主人、それに半東の高橋先輩にも点てさせていただきました。
また正客の宇さんのお点前で私まで頂戴してしまいました。
主客入り乱れての薄茶席、笑いの絶えないお席でございました。
最後のご挨拶そして送り礼で無事終了することができたのです。
不慣れなこともあってか時間は約三時間。
片付けを終えてから、斎藤先生から果物でのおもてなしがございました。
そしてまた部屋を改めてのカラオケ楽しゅうございました。

 斎藤先生には今回の朝茶事での亭主役としての意識付けと目標の設定、そしていろいろな面でご指導をいただき本当に感謝でございます。
斉藤先生のご主人にまで裏方のお手伝いのご協力もありました。そして高橋先輩には裏方としていつもながら大変お世話になりました。
朝茶事を無事終えることができましたこと、この場もお借りしまして皆様方に厚く御礼を申し上げます。

 今回はテーマを「水の音」として取り組んでみました。
静の中の動、動の中静そして主客それぞれがどれだけ心を響き合わせることができたでしょうか。
そしてどのような水の音を聴いていただけましたでしょうか。
皆様方からのお手紙やメールが待ち遠しいものです。

 先週一週間は会社の仕事に追われた日々が続きました。
「忙」しいとはよくいったもの。
心偏に亡くなる。
心にゆとりのない時は、何をやってきたのかもはっきりしないものです。
でもそんな時間的な余裕のない中で、朝茶事についていろいろと勉強することができました。
集中してやることの大切さを改めて感じています。
昨夜は九時過ぎ、本を見ながら朝茶事を振り返ってみました。
反省すべき点や課題が、次から次へと頭に浮かんできます。
次回のために本に書き留めておきました。
一週間の仕事の疲れとそして昨日の朝茶事の緊張感からの開放からでしょうか、服を着たまま風呂にも入らずベッドに寝入ってしまったようです。
今朝は四時半に目が覚めました。
雨の音、時折聞える鳥たちの声。
気持ちのよい目覚めでございます。


和の学校仙台分校へどうぞ

テーマ : 和風、和物、日本の伝統
ジャンル : 趣味・実用

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雲悠々水潺々

 朝茶事のご亭主お疲れ様でした。
社中の皆様との和気藹々とした雰囲気が伝わってきて、一気に読ませて頂きました。
待合床の「雲悠々水潺々」。とっても素敵な言葉ですね。
紫陽花と縞葦も涼しそうで、今の季節にピッタリですね。

 冨樫さんの素敵な文章で、私までご一緒させて頂いたような気分になれました。
ありがとうございます。

ありがとうございます。

 コメント誠にありがとうございます。
静と動の対比と同じように、私のお点前もそうであったのか心配です。
でも初めての亭主役は得がたい経験でした。
Sangoさんにもいつか一服点てさせていただきたいものです。
華道をされているSangoさんから見ていただいて、釣船花入はどのように見えましたでしょうか?
入船であったので陸から吹く風を意識して活けてみました。
はたしてそのように見えたのかも心配でございます。

感動させて頂きました。

「朝茶事」のご亭主役、お疲れ様でした。

茶道とは縁を持たずに過ごしてまいりましたが、
まさに、総合芸術だと思いました。

素晴しい文章で、何度も味わさせていただきました。
こちらに通うたびに、私なりの発見もございます。

先日も教育テレビでお茶事をみたのですが、
ふくさの捌き方から、清めるという視点を教わりました。
動作の中にある意味に、心を感じました。

>今回はテーマを「水の音」として取り組んでみました。
>静の中の動、動の中静そして主客それぞれがどれだけ心を響き合わせることができたでしょうか。
>そしてどのような水の音を聴いていただけましたでしょうか。

おもてなしとは、このような心の流れなのですね。
感動させて頂きました。
ありがとうございました。

心の流れ

 コメントありがとうございます。
「心の流れ」、素敵な言葉でございます。
お茶会の席に入る度、主客それぞれが「思いやり」そして「感謝」ということがいつもベースになっいることに気づかされます。
それが「心の流れ」ということでしょうか。
そんな経験をもっと多くの人々にも感じてもらいたいと思うようになってきました。
書き残し伝えていくことの大切さ。
こうして、ブログに書き込んでいることもその一つといえるのではと最近感じています。その中でコメントいただけることが、私にとって一番の励みでございます。
誠に有り難うございます。
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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大そして、昔からあった美しい東北の四季とそれを彩る催しを発信していきます。ドイツで生まれたVEEH HARFE(ヴィーハープ)演奏にも取り組み、癒しの音色をお届けしていきます。

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