風の森通信 第287号
「龍生派」宮城県支部いけばな展に行ってきた。
和の学校仙台分校会員のhanaroさんが出展していることもあって、以前から楽しみにしていた。
私がこれまで見聞きしていた花展とはいささか様子が違っていた。
会場全体を見渡してみても作品の花材がほとんど枝であったり、幹であったりそして葉であったり。花だけではない花材と、他の新たな素材とを取り合わせた作品が多かったことが特徴の一つであろうか。
hanaroさんの作品は、「フレームに生ける」というコーナーに展示されていた。まるで一枚の絵を見ているような感覚と言ってもいいだろう。
薪を使った作品は斬新なアイデア。一本一本の薪の長さが違っていて街を表現しているとのこと。フレーム全体に切られた薪がランダムに配置され、少し窮屈になった空間は街の未来を暗示しているようにも思えてくる。
薪に混じってマングローブで出来た大きな炭も、アクセントとしてそして異質なものとして効果的に配置されていた。
現代社会は黒い闇の部分がいっぱいありそうだが、そんな街の中でもしっかりと根を張り、堂々とそして美しく咲いている花の姿に心打たれます。
でも炭は水を浄化する物質でもあるわけで、異質なものではなく元来同じものであると訴えたかったのだろうか。
また素材が薪であったせいか、作品全体が木の温もりと作者の温もりもが一緒に伝わってきて、私の心を癒してくれた作品だったのです。背景のボードの色が薪の色にマッチしていたこともあり、極楽鳥花の存在感が一層際立っていると同時に、誇らしくも見えてくる不思議さがある。
一本のストレリチアは美しく、力強くそしてロマンに満ち溢れた花だったのです。
おなかがすいていたせいでしょうか、薪の年輪がくっきりと見えてバームクーヘンのおいしい街にも見えてきます。
今回の花展で、hanaroさんは龍生派お家元から「花泉賞」を授与されました。
「華泉賞」とは、龍生派研究会で優秀な成績をおさめられた方に与えられる名誉ある賞で、今回数少ないお一人として受賞となったものです。
私までもが嬉しくなってきます。
10年間継続してきた結果と日頃の努力の賜物。
「花泉賞」の受賞そして花展の盛会誠におめでとうございます。
これからのますますのご発展お祈りいたします。
「龍生派」宮城県支部いけばな展は明日4月17日(月)まで、仙台市さくら野百貨店で開催されている。