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風の森通信 第490号


「南部曲り家」  佐々木賢光


 先日友人宅に伺った時、一枚の絵との出会いがありました。

photo_20053101.jpg

           「南部曲り家」  佐々木賢光

約30年前、友人のお父様が手に入れたとお聞きしました。
大きなサイズのため飾る場所がなく、30年間布を 掛けられ置かれていたという。
友人が引越ししたのを機に飾ったのだ。
その絵は里山がすぐ背景にあり、夕暮れ時の南部曲り家の様子が描かれています。
右側が母屋で人が住むところ、そして左側が馬屋であろうか。
左手前にあるのが外風呂のようで煙突から煙が流れています。
家の前ではおばあさんが放し飼いの鶏と一緒に描かれていて、もう小屋に入れているところでしょうか。
前にきれいな水の川が流れ、道を挟んで野菜を洗うところもあります。
 佐々木賢光(けんこう)の魅力は、岩手の自然とそこに住む人々の生活を描いているところにあります。特に色合いと描かれた線に作者の心が表現されています。
昔からあった日本の原風景は、現代社会に生きる私たちへの贈り物。 現実の空間から解き放たれた気持ちにさせるのが、この絵のもう一つの魅力なのかもしれません。
かたくなに岩手山と南部曲り家しか描かなかった佐々木賢光。
彼の独特の個性と誇りがこの絵の中に存在しています。
 壁から絵を外して見せてもらいました。
サイズはF50、描いた場所の住所が書いてあります。
「岩手県紫波郡都南村里前18-57」
描いた住所まで詳細に書いてある絵画を拝見するのは初めてです。キャンバスも細部にわたり丁寧に描かれているのが分かります。
最近では南部曲り家を見る機会がなくなってきました。
私が見たのは以前勤務地が岩手県宮古市にいた頃、遠野を車で通ったとき何軒かの南部曲り家を見ただけです。
この絵に描かれた南部曲り家はまだ残っているでしょうか。
地番まで分かっているので一度訪ねてみたいものです。

 友人が絵を初めて洋間に飾ったときのエピソードを語ってくれました。

> 昨日マンションの洋間に飾りました。
>丁寧に描かれていて素晴らしい絵に初めて見入りました。
>飾ったその夜、真夜中にざわめきで眠りから覚めました。
>すると足元を右から左へ風のような ものが通りました。
>朝、風を感じた足元を見ると絵のある場所から吹いてきたとしか思えません。
>もしかしたら座敷童子(ざしきわらし)かな?
>絵は飾られて喜んでいるように思います。

> 家に帰ってから絵に向かい「ただいま」といつも声をかけます。
>絵の中ではお風呂も焚いて、部屋では夕餉の仕度もしてあるのでしょう。
>おばあさんが「お帰り」と言ってくれそうです。

木々のざわめきや風の流れ、夕餉時の匂いまで伝わってくるような「南部曲り家」
この絵は、普段自分では感じ取れない考え方や感性を見る者に教えてくれているのかもしれません。



 今日のお稽古は「仙遊之式」そして「平花月」
「仙遊之式」で私は半東の役。
廻り花で入れた花は白芍薬そして三寸菖蒲。
雨の日の薄暗い茶室の中で花たちは明るく輝いてくれました。
お香は伽羅が焚かれ、お茶室の中は妙なる香りに包まれ時の経つのを忘れてしまいます。
 明日は輪王寺での月釜。
淡交会宮城支部のО先生が釜をかけられます。
朝8時受付前集合で、齋藤社中の皆様方と一緒に楽しんでまいります。


和の学校仙台分校へどうぞ

テーマ : 和風、和物、日本の伝統
ジャンル : 趣味・実用

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情緒がありますね

風情かな?

いいなぁ~と思いつつ、
便利な生活は捨てられない現代人。

和がいいなって思うのは、そういうところなのかな。。

いい絵ですね。

その場に引き込んでくれる絵!

 こんばんは。
この絵を遠くから見ていると、私が子供の頃にあった農家の光景に似ています。
夕闇が迫り、稜線から冷たい風が吹いてきてその音さえ聞えてきそうです。
近づいてみると丁寧に描かれているのがよく分かります。
大根が干してあったり、洗濯物がまだ取り込まれていなかったり、煙がみえるのでお風呂をわかしているのでしょうかそれとも夕食の準備でもしているのでしょうか。
自然の中に人の生活がうまく溶け込みながら全体を構成しています。
作品の前に立って見ているだけで、その場にいるような感じさえしてくる作品です。
50年前まではこんな光景がたくさんあったのでしょうね。
短期間のあいだに急激に変化してしまった現代社会。
もう時間を戻すことはできませんが、この絵を見て少しの時間でも昔に帰り、本来あるべき姿を確認しみるのもいいのかもしれません。
佐々木賢光氏は岩手県を中心に活躍した画家で、岩手山や南部曲り家などを題材とした作品が数多く残されています。
コメント誠にありがとうございます。

ありがとうございます。

佐々木賢光で、検索したところ、真っ先にこちらのブログにたどり着きました。
佐々木賢光は、私の父です。10数年ほど前から、入院をしており、それ以来一切絵は描いていません。
先日、もう長くはないと・・・医者から言われ、生前に父が残した、絵をお持ちの方や、見かけた方への感謝の気持ちを伝えたいと思い、コメントをさせていただいている次第でございます。
私は、小さな頃から父を尊敬しており、とてもl偉大な存在でした。また、描く絵は、本当にすばらしく、子供ながらに圧倒されました。こうして、父の絵について、語ってくださる方がいることに、感謝いたします。本当にありがとうございました・。

お初でございます。

★m.sasakiさま

 和の学校仙台分校の冨樫(とがし)です。
お父様の情報誠にありがとうございます。
病気療養中で筆を置かれてから10数年とのこと誠に残念です。
できるだけ早い回復お祈り申し上げます。
ブログの中の一部文章を削除とさせていただきました。
大変申し訳ありませんでした。
実はここでご紹介させていただいた「南部曲り家」の他に、もう一枚の絵を友人宅で拝見させていただいております。
それは雪解けの季節の「岩手山と南部曲り家」の素敵な作品です。
岩手山の雪、そして空の青、湧き上がる白い雲。
手前には南部曲り家と雪解けの道が描かれている作品です。
最近友人から佐々木先生から頂いた名刺を見つかったと知らせが入りました。
できればその作品を今週中のブログでご紹介させてもらいたいと思っております。
詳細はメールにてご連絡とさせていただきます。
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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大そして、昔からあった美しい東北の四季とそれを彩る催しを発信していきます。ドイツで生まれたVEEH HARFE(ヴィーハープ)演奏にも取り組み、癒しの音色をお届けしていきます。

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