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風の森通信 第507号


ターシャ・テューダーの死を悼む


 私がターシャ・テューダーの存在を知ったのは今から3年前の夏、NHKで放送された「ターシャ・テューダー四季の庭」というテレビ番組でした。
アメリカの片田舎で広大な土地に草花の種を蒔き、四季折々に咲き乱れる花々に囲まれながら、自給自足の生活が紹介されておりました。
さっそくその写真と彼女の言葉で綴られた「ターシャの庭」の本を買ってきて、時折本をめくるのが楽しみです。

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彼女は花や野菜そして果物を育てること、絵本を描いたり人形を作ること、子供たちや孫の育てることも彼女にとって総てが創り上げていくこと。一人何役もこなし、生きている毎日が創作活動だと言っていたのを記憶しています。
高度に複雑化した現代社会の中でもそれを実践してきたわけですから、人間として一つの生き方の見本を示してくれた偉大な作家だったと思っています。
彼女の絵本やその他の本などを読む度に、彼女が普段話していた言葉が今も甦ります。


「人生は短いのよ。文句を言っている暇などないの、目の前にある幸せを精一杯味わうことよ」

「思う通りに歩めばいいの」

「この庭もいずれは自然に帰してやるつもりよ」


自分の人生を考えるとき、庭の畑や草花の手入れをするとき、大自然の中にいるときなど彼女の言葉を思い起こすことができるでしょう。
遺体はアメリカでは珍しく火葬され、その後自然葬として遺灰は彼女の庭にまかれたことを最近知りました。
おそらく彼女の遺言だったのでしょう。
庭を元の自然に帰すといっていたとおり、自分の遺灰をも自然に帰したわけですから。

 今生きているのは、地球の自然や人間が作り出した物を一時的にお借りし、楽しく生きていこうということ。
借りていたものを元の自然に返すという生き方こそが、地球に生きるものにとって本来あるべき姿なのだと示唆しているようです。
彼女の写真集や絵本を見る度に、私自身これからずっと歳を重ねていくのも悪くないものだと思うようになってきました。

今夜はゆっくりページをめくりながら、ターシャ・テューダーのご冥福をこころよりお祈りしたいと思います。



 今日のお稽古は和巾そして葉蓋での薄茶点前。
葉蓋の扱いでつかわれた葉は「紅芙蓉」

photo_20080201.jpg

織部の水指に葉蓋の取り合わせも涼しげです。
そして葉の上にある露の玉を見ているだけでも不思議に涼を感じるものです。

 明日は、和の学校仙台分校「お茶を楽しむ会」8月例会です。
暑さをしのぐどのようなおもてなしが私達を待っているのか今から楽しみでございます。

 
   
和の学校仙台分校へどうぞ

テーマ : 和風、和物、日本の伝統
ジャンル : 趣味・実用

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お茶って不思議な世界ですね。
芙蓉の葉さえ、素晴らしいものにしてしまうのですから。
ターシャさんがもし日本のお茶に触れていたら、何とコメントしたでしょうか。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

季節感

★さちりんさま

 葉蓋の扱いは、明治の初期の頃に創案されたもので比較的新しいお点前です。
蓋にする葉は梶の葉をはじめ、さちりんさんが写真によく撮られている蓮の葉や、桐、里いも、蕗の葉もよく使われるようです。
夏のこの季節だからこその葉蓋の扱い。
これらの葉を使って季節感を表すことは、きっと茶道だからできる表現方法なのかもしれません。
葉蓋を開けてからは、葉を小さく折って茎の端をその折ったところに差して建水に入れます。
お点前が始まってから、葉蓋を建水に入れるまでの少しの時間に、お客様に夏を感じてもらおうというお点前です。
 ターシャ・テューダーは日本の抹茶をいただく機会はあったのでしょうか?
茶碗のの中の緑をきっと「春の色」といって飲んでもらったに違いありません。
コメントいつもありがとうございます。
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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大そして、昔からあった美しい東北の四季とそれを彩る催しを発信していきます。ドイツで生まれたVEEH HARFE(ヴィーハープ)演奏にも取り組み、癒しの音色をお届けしていきます。

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