風の森通信 第619号
臥牛会書展
平成21年9月に銀座鳩居堂画廊で開催された「-書-グループ2009」の作品が仙台でも公開されました。
主催は仙台を中心に活動している「臥牛会」
「純」 佐々木祐一氏
筆を運んでいる時間の経過を思います。
左と右の字が一定の距離を持ちながらも、密接に調和し一文字として構成されていて、観る者の心を引きつけてくれる作品です。
左の糸が犬のダックスフンドにも似て面白い構図に仕上がっていて、純という一文字なのに物語の中の一場面を見ているような気がしてきます。
「月明りあつめて蛍二ツ三ツ」 中島緋紗絵氏
暗闇の中、蛍が二ツ三ツ。
十二文字の作品なのですが、ひとつひとつの字が互いに結びつきながら、一枚の紙の中に小さな蛍の飛ぶ世界が繰り広げられています。作品を拝見していると、蛍が飛び交っている光景が見えてきてゆっくり楽しむことができたのです。
落款の朱も効果的に配されています。
「風に桔梗の繪帷子けさの飛脚でとどき候・・・」 熊谷喜美雄氏
熊谷さんは職場の先輩。
今年も書展の招待状をいただき感謝申し上げます。
熊谷さんは宮城県気仙沼市出身、地元の詩人水上不二の作品に傾倒し、毎年書として彼の作品を紹介してくれます。
風に桔梗の繪帷子(えかたびら) けさの飛脚でとどき候
産土(うぶすな)さまのお守札 棚にまつって拜み候
江戸は両國川びらき ところてんなど食べて候
とてもみごとな揚花火 玉や鍵やとよんで候
きのう習った千文字 ほめられて候 おくり候
虫が食ったような用紙に綴られています。
きのう習った千文字 ほめられて候 おくり候
最後の一行が熊谷さんの心を動かしたに違いありません。
果たして誰に褒められ誰に送ったのか、酒でも飲みながらお話を伺いたいものです。
十名の書家の皆様方の作品が並び、一人一人の個性が光ります。
伺った時も多くの観覧者でにぎわっておりました。
写真撮影とブログ掲載の許可をいただきました佐々木先生に、この場をお借りし厚く御礼申し上げます。
この書展は10月4日まで、仙台市青葉区一番町「仙建ギャラリー」で開催されています。
和の学校仙台分校へどうぞ
テーマ : 和風、和物、日本の伝統
ジャンル : 趣味・実用