風の森通信 第625号
「ドールハウス」ストリートに迷い込む・・・
住宅街にある一軒のお宅を訪ねてみました。
「ピンポーン♪」
庭の片隅でガサゴソと物音がするので振り返ってみました。
白いうさぎが顔をあげ、ニンジンを大事に抱えてじっと私を見ています。どうしてこんなところにうさぎがいるのでしょう。
「は~い、どうぞ中にお入りください」
家の中から人の声がします。
そっとドアを開けてみました。
おっと!そこには白い髭をはやしたオジサンが、青いコートを着て花を持ちながら立っているではありませんか。
「おじゃまします・・・」と小さな声でご挨拶。
やけに長い白髭だと思って見ていると、その奥には額に入った小さなガラスのケースがあって、中にはまたまた小さな小物が綺麗に並べられています。
何気なしに玄関を見渡してみると、至るところに額に入った小さな家や部屋が立ち並んでいたのです。それらの額の大きさは、30cm~40cm四方程度でしょうか。その中に納められているのは、ミニチュアの家具や道具の品々、そしてきれいな花瓶に入った花などが所狭しと並べられています。
そう、飲みかけのコーヒーカップなどもありました。
作品の一つひとつを見ていると、その部屋の温度が伝わってくるようです。中からは素敵な音楽が聞こえ、花の香りや作られている食事の匂いまでもが漂ってきそうな気がいたします。
人は誰もいないのですが、今にもドアが開けられ家の住人が姿を現しそうなそんな気配なのです。
額の中に閉じ込められた小さな景色は不思議な国の世界。
一番大きな作品は下の写真の「お花屋さん」
高さは50cmほどでしょうか、二階建ての家の中にはいろいろなお花がぎっしり並べられています。バケツに入った一本一本の花、天井から吊り下げられたたくさんのバスケット、棚に入っている小さなお道具の一つ一つを眺めてしまいます。
額に飾られたそれらの作品を見ていると、玄関の中が一つのストリート。通行人は私一人、どうも行き先が分らず迷子になってしまいました。
「こちらの部屋でお茶でもどうぞ・・・」
はっと我に返って、目の前にあったドアを静かに開けたのです。
これらの作品は「ドールハウス」と呼ばれ、廃品や身の回りにあるちょっとしたものを使って作られたものです。
どんな小さな物でも総てが手作りです。
作者はドールハウス製作の第一人者及川久美さん。
訪れたのは及川さんのご実家。
及川さんのお母様から甘い香りの紅茶とおいしいクッキーをいただきながら、「ドールハウス」の世界に話に引き込まれて行きます。
及川さんの作品は学習研究社から「風のオルガン」、「ティーコゼー」などが出版され、楽しい作品が数多く紹介されています。
他の国々でも訳され多くの愛好者の方々に親しまれています。
仙台市泉区在住とのこと、今から及川さんとの出会いが楽しみです。
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テーマ : 和風、和物、日本の伝統
ジャンル : 趣味・実用