風の森通信 第694号
宮城県芸術祭茶会
■日時:平成22年10月24日(日)
■場所:仙台市青葉区北山輪王寺 隠寮
■主催:織田流煎茶道
第四十七回宮城県芸術祭茶会が輪王寺で開催され、今回は織田流煎茶席に伺ってまいりました。
お席は織田流煎茶道明徳会会長を長年務められた故藤井黎氏を偲ぶもので、和歌が読み上げられるなどとても印象的なお席でした。
床
軸
白露は分きても置かじ女郎花心からにや色の染むらむ
細川 幽斎
秋も深まると天から光輝く白露が降りてきます。
でも白露は花を選び分けながら降りてくるわけではありません。
数ある花の中で美しい花だと思えるのは、その花だけが持つ綺麗な色や甘い香りが、体の中や心の中から意図せずしておのずからにじみ出てくるからに違いありません。
人は誰でも花なろうとするその生き方に魅力を感じるものです。
女郎花の花言葉は「美しさ」と菊地南美先生から教えていただきました。
お軸は紫式部日記に出てくる和歌で細川幽斎筆でしょうか。
花入 大樋焼やき〆耳付
花 斑入り艶蕗 浜菊
枇杷床 盛物 題「三賢」
お道具の中にも和歌がありました。
水注 和歌刻
さす棹もなげやりぶしを歌ふなり月にうかるゝ海人の釣舟
蓮月尼
茶ぶ台は蒔絵「草花」でそれはそれは見事なもの。
二煎の玉露は誠に甘くおいしゅうございました。
菓子は「秋の色」五色のおまんじゅうをいただくことができ、この秋を大いに満喫することができました。
菊地先生からは藤井氏の思い出をいろいろとお伺いすることができました。これまで数多くの短歌や俳句を作られたとのことでしたが、どのような歌や句を残していただいたのでしょうか。
もし、このお席に藤井先生がおられたらどんな短歌を残されたでしょうか。
菊地先生にいつかまたゆっくりお会いしてお話を伺いたいものです。
浜菊と斑入り艶蕗動かざる五感で感じる季節の中で
H22.10.24 冨樫 通明
床のお花を拝見した時を思い出しながら詠んだものです。
席中での菊地先生のお話、そして煎茶をいただいているひとときはゆっくり時間が流れていきました。
時間の静と動をも楽しむことができたのです。
今回は他に三彩流星悠丈氏席、遠州流茶道高橋宗敬氏席にも伺いました。
三彩流のお席では、会社の同僚の方がお運びなどのお手伝いを担当されておりました。来年は是非三彩流のお席に入らさせていただくことができたらと今から楽しみでございます。
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