風の森通信 第778号


帰去来



 仙台は冬型の気圧配置が強まり、朝から強い西風が吹き荒れた一日でした。
市内の定禅寺通りや晩翠通りは、欅や銀杏の落葉の吹き溜まりがいたるところに見られました。

 月の第一週日曜日は淡交会宮城支部主催の月釜の日です。
ところは仙台市青葉区北山輪王寺半杓庵。
濃茶席は佐藤宗智先生が釜を掛けられ、薄茶席は篠原宗由先生が担当されておりました。

お庭にはまだ雪はないものの雪吊りの光景が広がっています。
お部屋の壁には「風舞」の字が見えます。

今日のような風の強い日にはつい目が行ってしまいます。


■待合床

床  潤英和尚筆 歳月不待人 絵賛

 関防印は「帰去来」と佐藤宗智先生からお聞きしました。


「帰去来」・・「帰りなんいざ!」
自然をともとする故郷に帰り生きていこうとする強い決意とのこと。
三月の大震災によって多くの方々が故郷に帰りたくても帰れない、原発によって帰りたくても帰れないという現実に直面しています。
また時は人を待たず、その願いも叶わず今年もまもなく終ろうとしています。しかし現実を直視しながらも、自分の心にも帰ろうとすることにつながっているのだと佐藤先生に教えていただきました。
私にとっては久しぶりに聞く「帰去来」
それは私がまだ若かった頃、さだまさしのアルバムの中に「帰去来」というものがありました。その中で記憶に残っている曲といえば「線香花火」「絵はがき坂」
その頃は「帰去来」についてあまり気にもとめていなかったのですが、この齢になりそして今回の大震災を経験し、今日の月釜に席入りしてその言葉の持つ意味を改めて感じています。

■濃茶席

床  大亀老師筆  三玄

   花     初嵐、こぶし
   花入   唐津  黒高麗
   香合   染付  拍子木

   釜     阿弥陀堂
   炉縁   根来
   水指   南蛮写
   茶入   信楽  福俵
   茶杓   鵬雲斎大宗匠作  銘 無事
   茶碗   半使写
   御茶   淡々斎好  青葉の昔  
   菓子   雪笹
   菓子器  志野額皿

 お軸の筆の太さやかすれ、そして白い空間の配置がとてもすっきりしていて潔く、心奪われるものがありました。



■薄茶席

床  伊達吉村公筆
   くれてゆくとし波高く立こえて今はよわいもすえのまつやま

   花     太神楽、蝋梅
   花入   淡々斎作 竹一重切  銘 冬籠
   香合   田舎屋

   釜     竹生島
   炉縁   真塗
   棚     淡々斎好 大内棚
   水指   鴨脚絵
   棗     竹に雀蒔絵中棗
   茶杓   坐忘斎御家元作  銘 洗心
   茶碗   古萩  銘  あたたか
   御茶   鵬雲斎大宗匠好  翠芳の白  
   菓子   冬日和
   菓子器  一閑 松皮菱



 お稽古や月釜などでお茶室にいる度に思うことは、津波や原発による直接の避難生活はなかったものの、多くの友人・知人の方々を亡くしたという現実、自宅の修繕などがまだまだ進んでいない現実にありながらも、こんなに平和な時間があってよいのかと考えさせられてしまいます。
今年は個人的にも日本人としても、多くの方々に助けていただいた年となりました。そして人々の温かみを改めて知った年です。
両先生のお席に、このことについての深い思いがありひしひしと伝わってくるものがありました。
 今を生きる私たちはなんとしても復興を成し遂げていかなくてはなりません。今年も残りわずかとなりましたが、次につながる生き方をしてまいりたいと思います。


和の学校仙台分校へどうぞ

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もう12月になってしまったのですね。
故郷に帰りたくても帰れない人が多くいらしゃることを忘れてはいけないですね。
このところ忙しくてブログを拝見してなくて
すみません。その後いがかお過ごしですか?伊豆の地から応援しています。

帰去来

いい言葉ですね。「帰去来」。
思わず、さださんの古いアルバムを引っ張り出してしまいました。
実は震災以来、まだ一度も仙台に行くことができずにいます。
私が行っても泊まるには家が元通りでないこともありますが、
私の心の準備ができていないということの方が大きいようです。
年が明けたら、なんとかと思っているのですが・・

「次に続く生き方」心にしみる言葉です。
日本中の人が忘れずに、心して暮らさなければ。
寒さが厳しいようですが、お元気にお過ごし下さいませ。

雪が降らなくても雪吊りをする和風庭園を良く見かけます。多分美しい姿をみせてくれるからでしょうね。
震災がなければ、普通の生活を営んでいられた人達が、冬を迎えて寒い思いをするのかと胸の痛む事です。

茶釜の湯気を見ながら心からお茶を楽しむ日が少しでも早く訪れますことを願っております。

九ヶ月目

★ハンナさま
 おはようございます。
震災の日から早いもので九ヶ月が過ぎました。いっこうに進まないガレキの処理、居住地の高台への移転の問題、そして今朝雇用保険の失業給付を受けている方々が六万人以上いらっしゃることをニュースで知りました。安定した雇用の確保を一番先にやってほしいところです。
被災地の「復興」を合言葉にしているのに、なかなか進まない現実にいらだちを感じています。
政治や経済そして風評という問題に突き当たると思いますが、何がどのように問題なのかをきちんと知らなくてはならないと思っています。
引き続きの支援をよろしくお願いいたします。
コメント感謝申し上げます。

帰去来

★はれのハハさま
 おはようございます。
「帰去来」という言葉をお茶室で聞こうとは思ってもいなかったことです。席主の佐藤先生の深い想いの現れでしょうか。
佐藤先生のお宅も大きな被害に遭われ、今になってようやく復旧工事のための足場作りが、外そして家の内でも始まったとのことでした。
私がお稽古でお世話になっている齋藤先生の宅も屋根瓦が壊れ、復旧のための資材が届かないということで越年工事となる状況のようです。
被災による周囲の状況は少しずつ回復してきていますが、一般家庭となりますと優先順位が低いせいでしょうか後回しの復旧工事ということのようです。
ハレのははさまの仙台のお住まいも復旧工事は進んでいますでしょうか。
震災前の生活に戻れるのは、もっともっと時間や経費そして心のケアが必要なのかもしれません。
 仙台はまだ積雪はありませんが、寒い日が続くようになってきました。
今日は車のタイヤを履き替えたり、それに畑の土が凍っては大変ですので、家庭菜園の大根や蕪や人参を全て収穫してきたいと思っております。
健康に気をつけながら、一日一日丁寧な生き方をしていくしかないようでございます。
いつもコメントを頂戴し感謝申し上げます。

冬景色

★さちりんさま
 おはようございます。
仙台はまだ積雪はありませんが、年末にかけて輪王寺のお庭は雪景色になるでしょうね。庭にある池を巡りながら冬の風を感じます。
 被災地の寒い中での皆様方の生活を思うと、一日も早い復興を皆で一緒になってやっていくしかありません。
激動の一年、被災地支援を含め今年まだやり残したことはないのかいろいろ考えている昨今です。
 千葉での皆既月食はいかがでしたか?
こちらは時々家の外に出てみることができました。
夜空はいつも黒い大きな風呂敷に穴があいたように星が輝いてくれています。
この皆既月食を見るのも今年のやり残しの一つでした。これでまた一つ心の安らぎを感じます。
いつもコメント感謝申し上げます。

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プロフィール

 冨樫 通明  (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)

Author: 冨樫 通明 (仙台市在住 ・ ぎゃらりー風の森代表)
NPO法人和の学校会員、和の学校仙台分校会員。
茶道を中心とした「和の文化」の実践と普及・拡大に取り組んでいます。
昔からあった美しい東北の四季、それを彩る催しなどもお届けしていきます。

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