風の森通信 第819号
文月 輪王寺月釜
■日時 平成24年7月1日(日)午前8時~午後3時
■場所 輪王寺 半杓庵
■主催 裏千家淡交会宮城支部
待合から見える庭園では、雨傘を持つ観光客が園内に吸い込まれていきます。
廊下を挟んですぐ目の前には蹲の大きな石がひときわ目を引きます。
・床 虎洞和尚筆 風鈴絵賛 空門風自涼
門も塀もない家は なにものにも遮られることなく、風が吹き抜けていくのでまことに涼しいもの。
座しているこの待合もまた庭園を見下ろすことができ、風が私の頬を通り過ぎていきます。風はまた庭の木々を揺らし、軒下の風鈴を鳴らし涼しげな音をたてています。
吹くということで風は生きていることの証。
人にとっても梅雨どきの風は誠にありがたい。
■濃茶席 席主 小池 宗昌 氏
・床 瑞巌老師筆 夏雲奇峰多
夏の雲は、変わった形の峰からたくさん湧き上がってくるというこの季節の佳趣を詠んだ美しい詩の一節。中国の詩人、陶淵明「四時の詩」の中の句と小池先生に教えていただきました。
花 夏つばき
花入 唐銅ヤキヌキ 下蕪
香合 丸 浮見堂古材
釜 真形 浜松地紋
風炉 土 面取
水指 瀬戸 耳付
茶入 備前 肩衝
茶杓 大龍老師作 銘 一滴
茶碗 萩
替 黄伊羅保
蓋置 青竹引切
建水 木地曲
御茶 淡々斎宗匠好 青葉の昔 大正園詰
菓子 石清水 売茶翁製
菓子器 祥瑞写大捻鉢
■薄茶席 席主 大沼 宗律 氏
・床 蓮月尼短冊
湖上納涼
すずみ舟 よするかたゝの うら風ニ
月もゆらるゝ なみのうえかな
納涼船が寄せる琵琶湖大津の堅田の浦近く。
そこ吹く風に、湖面に映る月も波の上で揺れています。
花
花入 竹 一重切
香合 黒柿 山水蒔絵
釜 真形
風炉 朝鮮
水指 高取 四方管耳平
薄器 クリスタル棗 金銀流水蒔絵
茶杓 玄妙斎作 銘 清流
茶碗 粉引
替 安南
蓋置 竹一双の内
建水 淡々斎好口糸目
御茶 鵬雲斎大宗匠好 翠芳の白 井ヶ田園詰
菓子 夕涼み 売茶翁製
菓子器 竹組手付籠
水指は大きくたっぷりとしたもので、琵琶湖の水面を想像してしまいます。点前座の近くに座らせていただいたこともあって、柄杓を水指に入れる度に湖面に広がる波紋にイメージを膨らませることができます。
お席では風、雲、水の滴りと流れそしてそれらの全てを受け入れてくれる雄大な琵琶湖まで出会えて、大自然の中にいるような気になってくるものです。
初めて駒呂の着物で伺いました。
男であっても夏はやっぱりこの着物に限ります。
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