風の森通信 第960号
金華山「黄金山神社」
久しぶりに兄弟旅行で金華山に行ってきました。
金華山は牡鹿半島の突端に浮かぶ信仰の島です。
中腹にある金運・開運の神様として弁財天が祀られている「黄金山神社」は、商売繁盛や開運招福といった現世利益を願い「3年続けてお参りすると一生お金に不自由しない」とも言われていて多くの参拝者や観光客で賑わっています。
明治以前は弁財天を守護神として別当寺を金華山大金寺と称して、多くの信仰を集め女人禁制が敷かれていました。
鮎川には車で行きましたが、町に入るとほとんど建物が津波の被害にあって、今も家の土台だけが見える光景が続きます。まるで震災の時から時間が止まったままのように感じられたものです。仮設復興商店街の寿司屋で、珍しく定置網にかかったマッコウクジラ、ウニそしてマグロなどの海鮮丼をいただいてきました。食事中に震度3の揺れに遭いましたが津波警報も出ずほっとしたものです。
平日ということもあって金華山への定期便がなく、やむなく小型船をチャーターして島に向かいました。
雨が降っていて、外洋に出ると大きな浪のうねりで小さな船は木の葉のように揺れ続け、約20分をかけ島にたどり着きます。
金華山は東日本大震災では震源地に最も近い場所として甚大な被害のあったところですが、島内の復興は進んですっかり元に戻っていました。
願ったのは「天下泰平・国土安穏」そして「開運招福・現世利益」
黄金山神社に参拝の後、休憩室となっている神社大広間に入ると大きな屏風がありました。
吉田初三郎作 金華山鳥瞰図 屏風、六曲一双図
屏風絵の中には地名が一切描き込まれていないという特徴があるようです。観光鳥瞰図を超えた芸術作品として、力強さと繊細さが混在しているようにも思えます。また構図の雄大さや山と海の色彩が鮮やかで誠に見事なものです。
同じ広間東側には次のような額装もありました。
仙台藩校の養賢堂学頭であった大槻磐渓(おおつきばんけい)が金華山を詠んだ七言絶句。
金華山 大槻磐渓
大濤衝壁砕成龍 大濤壁を衝き砕けて龍と成り
余勢驚奔万馬従 余勢驚奔して万馬従う
莫是神霊鎮東極 是れ神霊東極を鎮するに莫らん
肇天石柱立中峰 天を肇るは石柱中峰に立つ
太平洋からの大きな波は金華山の岩にあたり、砕け散ってその高さは龍が昇る程の高さにもなるのです。
磐渓も手漕ぎの小さな船に乗り、間近で大波が砕け散るその光景を龍と見たのであろうか。
無事参拝を終えて専用の車に乗って帰ろうとしたら、島に生息する鹿が数頭えさをもらいに来ました。
人慣れしているので袋に入った餌を与えたましたが、まだ物足りなかったようで離れていってしまいました。
今回は現世利益もと欲張ってきましたので、来年と再来年も参拝しなくてはなりません。
今日のお稽古は釣釜での初炭手前、四ヶ伝の中から私は台天目そして更々棚を使っての入子点。
来週は大円之草と齋藤先生より予告がありました。
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